研究領域 | 核融合炉実現を目指したトリチウム研究の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22017005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大塚 哲平 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教 (80315118)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2011年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2010年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | トリチウム / 金属 / 拡散 / 捕獲 / 除染 |
研究概要 |
核融合実証炉の第一壁としてプラズマ対向面にタングステン(W)を被覆したフェライト・マルテンサイト鋼(F82H)を利用することが検討されている。W被覆層は放射性トリチウム(T)を含んだプラズマに曝されることになるので、炉内のTインベントリー評価ひいては安全性評価のために、TがW被覆層およびF82H基板にどのように進入し、蓄積(汚染)するのか、あるいは、加熱放出によってTがどのように除去(除染)されるのかを明らかにすることが重要である。本研究では、極微量のTを含んだ水素のDCグロー放電プラズマに、溶射法によりW被覆したF82Hを曝したのち、被覆層および基板中のトリチウム進入深さ分布をイメージングプレート法により測定し、その分布の温度変化および時間変化を調べることにより、両者への水素の進入・蓄積および放出機構を解明することを目的とした。 本年度の研究成果は、W被覆層中では主としてガス状水素の空隙(粒界)拡散が、F82H基板中では溶解水素の拡散が水素の進入または放出に大きく寄与しているという機構を構築できたことである。多孔質なW被覆層は、プラズマからの原子状、イオン状の水素の進入を表面(近傍)で阻み、ガス状水素の進入を空隙(粒界)に限定することにより、F82H基板への水素(T)の拡散進入・蓄積および透過を低減する役割を果たしていると考えられる。一方で、W被覆層では、プラズマ注入時の表面改質および表面近傍で生成した欠陥が水素捕獲サイトになり、これらに捕獲された水素が高濃度に局在化しており、内部では水素が各W粒子表面へ吸着し、さらに粒内への溶解するので、Tの蓄積量が増える可能性がある。表面近傍に局在した捕獲水素の捕獲エネルギーは極めて大きく、大気中保持や真空加熱を実施しても放出除去することが難しいこともわかった。
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