研究領域 | 分子高次系機能解明のための分子科学―先端計測法の開拓による素過程的理解 |
研究課題/領域番号 |
22018002
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
山方 啓 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60321915)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2011年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2010年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 赤外表面増強場 / ピコ秒時間分解赤外分光 / 溶媒効果 / 溶媒配向緩和 / 電気二重層 / 電荷移動 / 水の配向変化 / 水素結合ネットワーク |
研究概要 |
固体表面を含めてすべての物質は水和することで水の中で安定化される。水和構造の変化は物質のエネルギー準位に摂動をもたらすため、水中における物質の挙動を支配する重要なファクターである。したがって、固液界面過程を理解するためには、この水和構造の変化を調べる必要がある。そこで我々は、時間分解赤外分光法を用いて、親水性、疎水性カチオンが電極表面に近づく際のイオンと界面の水和構造が変化する過程を調べた。 電位ジャンプ法を用いて、疎水性カチオン・過塩素酸テトラプロピルアンモニウムイオン(Pr_4N^+)を疎水性のCOが吸着したPt電極表面に急に押しつけた際の変化を時間分解赤外分光法を用いて観察した。その結果、水和したPr_4N^+の界面濃度は電気二重層の充放電時間(~3ms)で上昇し、その後、ゆっくりと約180msの時定数で水和殻が崩壊する様子を観察することに成功した。水和殻が崩壊されるのがこのように遅いのは、水和殻崩壊に活性化障壁があるためである。水和殻崩壊速度の温度依存性を測定することで、その活性化エネルギーは7kJ/molと求められた。さらに、印加する電位を変えることで水和イオンを表面に押しつける力を変えると、水和殻が崩壊するためにはある閾値があり、それを過ぎると、水和殻崩壊速度は速くなることが分かった。すなわち、疎水性物質の周りに形成された水和殻は、単に水分子どおしの水素結合で繋がったものであるが、化学結合で構成された構造体のように強い力学的な強度を有していることが分かった。しかし、このような強い疎水性水和殻ではあるが、Na+のような親水性水和殻が接近するとすぐに壊れることが分かった。
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