公募研究
特定領域研究
細胞分裂期(M期)における遺伝情報の正確な分配は、遺伝情報の維持に必須である。M期にはDNA合成期(S期)に複製した姉妹染色体は互いに対合し、M期で高度に凝縮してM期染色体を形成する。M期染色体は、M期中期に細胞の赤道面に整列したのちに二つの娘細胞に均等に分配される。M期における、タンパク質のリン酸化と脱リン酸化は、M期における正常な染色体動態に重要な役割を果たしている。前年度の解析でPP2Aが染色体凝縮因子コンデンシンの局在を介した染色体の凝縮・脱凝縮を制御していることを見出した。本年度は昨年度に引き続き、キナーゼ・ホスファターゼによる染色体の動態制御機構を解析した。その結果、核小体因子NOL11が、M期キナーゼAurora Bのキネトコアへの局在を促進することにより、M期中期における染色体の細胞赤道面上での整列、及び姉妹染色分体間の接着に機能することを見出した。その分子メカニズムとして、1.NOL11がPP1を染色体腕部にリクルートする、2.PP1がAurora Bの結合部位となるヒストンH3のThr3リン酸化(H3T3ph)を脱リン酸化することにより、H3T3phのキネトコアから染色体腕部への拡散を防ぐ、3.その結果、Aurora Bのキネトコア局在が促進される、ことを見出した。さらに、核小体に存在するrRNAが、M期で核小体が崩壊するとM期染色体の周辺に結合し、NOL11、PP1などの核小体因子がM期染色体に結合するための足場として機能することを見出した。
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