研究概要 |
以下に述べる二つの方法でOrc2p-Ser188のリン酸化、及びOrc5pのATP結合を調節する因子を同定した。 一つ目の方法は、活性を指標とした蛋白質の精製である。即ち、酵母の核粗抽出液中にOrc2p-Ser188のリン酸化を阻害(促進)する活性、あるいはOrc5pとATPとの結合を阻害(促進)する活性を見いだしたので、その活性を指標にカラムクロマトグラフィーによりその因子を精製した。同定したタンパク質は新規なタンパク質であり、現在その構造決定を行っている。 一方、ORCに結合する因子を網羅的に同定し、その中からOrc2p-Ser188のリン酸化を阻害(促進)する因子、あるいはOrc5pとATPとの結合を阻害(促進)する因子を同定した。我々はyeast two-hybrid法を用いて、ORCに結合する因子の網羅的同定を行った。その結果新規蛋白質も含め、30以上のORCに結合する蛋白質(Orc1p:5個,Orc2p:4個,Orc3p:7個,Orc4p:5個,Orc5p:3個,Orc6p:9個)を発見した。そこでこれらの因子の中から既存の因子とのホモロジーなどを参考にして、Orc2p-Ser188のリン酸化、及びOrc5pのArp結合活性を調節する可能性のある因子を絞り込んだ。次に候補因子を多量発現させた酵母細胞から核粗抽出液を調製し、目的の活性が上昇しているのかを調べるところ、候補因子を複数同定することに成功した。
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