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メタボリックストレス応答におけるCDKインヒビターの役割

公募研究

研究領域細胞周期フロンティア-増殖と分化相関
研究課題/領域番号 22019042
研究種目

特定領域研究

配分区分補助金
審査区分 生物系
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

大谷 直子  公益財団法人がん研究会, がん研究所・がん生物部, 主任研究員 (50275195)

研究期間 (年度) 2010 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2011年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2010年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
キーワード細胞老化 / p16^<INK4a> / p21^<Waf1/Cip1> / 炎症性サイトカイン / 肥満 / p16 / p21 / メタボリックストレス
研究概要

肥満により癌の発症率が有意に上昇するが、その分子メカニズムの詳細については十分には明らかにはなっていない。我々は、新生仔マウスに0.5%DNBAを塗布する全身性発癌実験において、高脂肪食摂取群では、100%の個体で肝癌を発症することを見出した。我々が開発したp16^<INK4a>やp21^<waf1/Cip1>遺伝子の発現をイメージングするマウスに同様の実験を行うと、肝癌部で発光が認められた。詳細を解析すると肝癌部の活性化stellate細胞においてp16やp21の発現上昇が認められ、stellate細胞において細胞老化が生じていると考えられた。近年、細胞老化を起こすと、炎症性サイトカインを分泌することが報告され、その現象はSASP(senescence associated secre-tory phenotype)と呼ばれている。本研究ではSASPが肝癌形成に関与するかどうか検討した。
この高脂肪食摂取実験系における肝癌組織でのstellate細胞において、細胞老化にともなう炎症性サイトカインが発現しているかどうか、免疫組織染色にて検討したところ、肝癌組織のstellate細胞で細胞老化を誘導するDNAダメージのマーカー(53BP1,γ-H2AX)が染色され、さらに炎症性サイトカインであるIL6やGro-α(ヒトのIL8ホモログ)の発現も認められた。DMBA塗布によりRas遺伝子に活性化型変異が入るため、Rasシグナルを調べたところ、肝癌組織のstellate細胞でリン酸化ERKが認められ、Rasが活性化していることが明らかになり、stellate細胞で活性化型Rasによる細胞老化が生じていると考えられた。さらに肝癌組織では脂肪滴の蓄積が著しく、脂肪滴周囲では過酸化脂質を示すアクロレインが染色され、ROSレベルも上昇していることが示された。代表的なSASP因子であるIL6のKOマウスにおいて同様の実験を行うと腫瘍の数が60%程度まで抑制され、この系においてはSASPが肝癌形成に重要な役割を担っていると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞周期制御因子の生体における機能を明らかにすることが、本特定領域研究の目的のひとつである。本研究では高脂肪食に伴う肝癌促進系で、CDKインヒビターであるp16やp21の発現が肝腫瘍組織のstellate細胞で上昇し、細胞老化、さらにはSASPを誘導していることが明らかになり、領域の目的にも貢献できたと考える。

今後の研究の推進方策

本研究で用いた高脂肪食摂取による肝癌促進の実験系において、マウスに抗生剤を投与し、腸内細菌を除去すると、肝癌形成が抑制されるという、予備データを得ている。今後は、なぜ腸内細菌を除去すると肝癌形成が抑制されるのか、腸内細菌のプロファイル解析やメタボローム解析を通して、そのメカニズムを明らかにしていく予定である。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] DNA Damage Signaling Triggers Degradation of Histo Methyltransferases through APC/C^<Cdh1> in Senescent Cells2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi A, Imai Y, Yamakoshi K, Kuninaka S, Ohtani N, Yoshimoto S, Hori S, Tachibana M, Anderton E, Takeuchi T, Shinkai Y, Peters G, Saya H, Hara E
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: Vol 45 ページ: 123-131

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cellular senescence : a double-edged sword in the fight against cancer2012

    • 著者名/発表者名
      Ohtani N, Takahashi A, Mann D.J., Hara E.
    • 雑誌名

      Experimental Dermatology

      巻: (in press)

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 細胞老化のがん抑制と発癌促進における役割2011

    • 著者名/発表者名
      大谷直子、原英二
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: vol.29 ページ: 85-91

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [雑誌論文] Intrinsic cooperation between p16^<Ink4a> and p21^<Waf/Cip1> in the onset of cellular senescence and tumor suppression in vivo.2010

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi S, Takahashi A, Motoi N, Yoshimoto S, Tajima T, Yamakoshi K, Hirao A, Yanagi S, Fukami K, Ishikawa Y, Sone S., Hara E., Ohtani N.
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: 70 ページ: 9381-9390

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Senescence-associated secretory phenotype (SASP) in fatty-liver based hepatic cancer2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Ohtani, Shin Yoshimoto, Eiji Hara
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-15
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Intrinsic cooperation between p16^<Ink4a> and p21^<Waf/Cip1> in the onset of cellular senescence and tumor suppression in vivo.2010

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi S, Takahashi A, Motoi N, Yoshimoto S, Tajima T, Yamakoshi K, Ishikawa Y, Sone S, Hara E., Ohtani N.
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Laboratory Meeting, Molecular Genetics of Aging
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor, New York, USA
    • 年月日
      2010-09-29
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [図書] 細胞周期フロンティア(組織幹細胞の老化 p200-p206 執筆担当)2010

    • 著者名/発表者名
      佐方功幸、稲垣昌樹、岸本武雄編集
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      共立出版
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-08-23   更新日: 2018-03-28  

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