研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
22020017
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中務 邦雄 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (90547522)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2011年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 小胞体 / タンパク質分解 / 膜タンパク質 |
研究概要 |
小胞体の構造異常タンパク質はERADと呼ばれる分解系によって除去される。しかし、小胞体内の基質がどのように膜を越えて、サイトゾルのユビキチン・プロテアソーム系に輸送されるのか、全く明らかにされていない。我々はこのレトロトランスロケーションと呼ばれる現象について、in vitroおよびin vivoの両面から解析を進めてきた。本研究の前に、in vitro解析系によって、疎水性アミノ酸に富む膜貫通タンパク質でさえも、サイトゾルへ逆行輸送されるという有力な証拠を得ていた。本研究期間中このモデルを検証すべく、(1)新しいin vitro解析系の構築、および(2)徹底したショ糖密度勾配遠心による逆行輸送中間体の生化学的解析、を行った。 (1)では最初に、in vitroで合成した膜貫通型基質をミクロソーム画分に取り込ませた。その後、ユビキチン化反応に必要な因子を添加し、逆行輸送を観察した。しかしながら、取り込み反応はある程度進んだものの、ユビキチン化と逆行輸送を有意に検出することは困難であった。本研究を進めている途中、海外のグループから、基質のアセチル化がユビキチンリガーゼによる認識に必要であるという驚くべき報告がなされた。我々のin vitro解析系で扱っていたユビキチンリガーゼは、まさに基質のアセチル化を認識に必要とするものであった。ユビキチン化を有意に検出するには、アセチル化とその認識のステップを系に組み込む必要があるものと考えられた。平成24年度は、アセチル化酵素などユビキチンリガーゼによる基質の認識に必要なコンポーネントの精製方法を検討した。 (2)では逆行輸送を促進するCdc48/p97の変異によって、逆行輸送中間体を蓄積させることに成功した。その結果、プロテアソーム、E3リガーゼ、基質認識因子からなる巨大中間複合体の同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ERADのin vitro再構成は、本分野で残された疑問を解決へ導く、最終課題である。一連の反応を高効率で再構成するのにはブレイクスルーが必要であると思われるが、ユビキチンリガーゼによる認識メカニズムが徐々に明らかにされてきたので、今後反応系をさらに洗練できると期待している。一方で、逆行輸送中間体の解析に成功し、論文として出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
生化学反応のin vitro再構成では、活性の高い精製タンパク質を得ることが重要である。本研究では困難を極めたため細胞レベルの研究にシフトした。しかしERADのin vitro再構成は世界的にも誰も達成できていない。素反応の解明には必要不可欠な技術である。因子の同定と精製というアプローチを今後も続ける必要があるものと考えられる。
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