研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
22020022
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2011年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | アミロイド蛋白質 / 脳神経疾患 / 透析アミロイドーシス / アルツハイマー病 / 糖尿病 / 超音波 / 蛍光顕微鏡 / NMR |
研究概要 |
蛋白質は、アミロイド線維に代表される異常凝集体を形成して蛋白質社会の秩序を破綻させる。蛋白質社会を理解するには、「アミロイド線維の構造や形成機構をリアルタイムと原子レベルの分解能で解析し、線維形成の分子基盤を解明すること」が必要である。「超音波照射」、「重水素交換-NMR解析」、「全反射蛍光顕微鏡を用いた一線維・リアルタイム解析」などと組み合せることにより、アミロイド線維の構造と構造物性、形成機構を研究した。 (1)NMRによる構造解析:超音波処理を利用によって分子量200万の微細均質アミロイド線維を作製する方法を開発した。特にβ2ミクログロブリンのアミロイド線維に適用して、アミロイド線維の構造と揺らぎの解析をおこなった。その結果、N末端領域が壊れた構造をとっていることを明らかにした。更に、重水素交換-溶液NMR解析によって、β2ミクログロブリンの線維形成中間体の解析を進めた。溶液状態では比較的コンパクトな前駆体が、より広がった変性構造を形成することによって、アミロイド線維の側面に結合することを示した。 (2)全反射蛍光顕微鏡を用いて、アミロイド線維の形成反応や伝播現象を、一線維レベル、リアルタイムで解析した。Islet Amyloid Polypeptideにおいて、アミロイド線維形成と不定形凝集の関係を明らかにした。また、2種類の蛍光試薬を用いることによって、アミロイド蛋白質が、既存のアミロイド線維の側面に結合した中間体を検出できることを示した。 (3)マイクロプレートリーダと超音波処理と組み合わせたアミロイドアッセイ法を開発して、さまざまな蛋白質やペプチドのアミロイド形成反応を解析した。アミロイドは、過飽和条件下で比較的短いペプチドや蛋白質が析出することによって形成する固体構造であること、過飽和が全体の反応を支配する重要な因子であることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
蛋白質異常凝集体は、蛋白質社会の秩序を破たんさせる。タミロイド線維を中心とする蛋白質異常凝集体の形成機構を解析して、「溶解度」と「過飽和」が異常凝集を理解する新たな概念であることを提唱した。さらに関連する研究分野を発展させるための基盤を構築した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究をより発展させるために新学術領域研究「蛋白質異常凝集の原理と制御」(領域代表者、後藤祐児)を申請し、研究の更なる発展と推進を図っている。
|