研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
22020033
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
榊 建二郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70509968)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2011年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2010年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 小胞体 / 小胞体ストレス / 品質管理機構 |
研究概要 |
小胞体は真核生物における分泌蛋白質や分泌経路に介在する蛋白質(分泌系蛋白質)の生合成及び高次構造形成の場である。翻訳共役的に小胞体へと輸入された新生分泌系蛋白質に対して、小胞体分子シャペロン等の働きを介して構造形成を行うが、その構造の適格性を監査するシステムとして小胞体品質管理が存在する。小胞体品質管理機構は、構造異常蛋白質の発生及び蓄積に対しては、小胞体関連蛋白質分解(ERAD)や小胞体ストレス応答(UPR)、オートファジーを介した小胞体の大規模分解などの防御システムを用いることにより、蛋白質フォールディングや異常蛋白質分解を始めとする小胞体機能の恒常性の維持を司っている。小胞体品質管理機構は、分泌系組織の発生過程や糖尿病・神経変性疾患等の発症機構における重要性が明らかにされており、その全容解明が期待されている。我々は最近の研究から、mRNA品質管理機構のひとつであるnonsense-mediated RNA decay(NMD)の破綻が小胞体ストレス応答を誘発することを明らかにしており、mRNA品質管理がどのようにして小胞体品質管理機構と相互作用するかについて解析を進めている。本年度はNMD制御因子群の小胞体ストレス条件化における挙動について解析を行い、その結果、SMG6およびUPF3Bについては一部が小胞体に局在を示すことが示された。NMD制御因子複合体の形成は小胞体ストレスの影響を受けない一方で、SMG6遺伝子の発現が上昇することが見出された。さらに、一部のエキソリボヌクレアーゼ複合体の構成因子については、小胞体ストレス応答経路の1つである、eIF2alphaリン酸化経路への依存的に、発現が制御されていることが示された。以上の結果を踏まえ、NMDが小胞体品質管理において重要な働きをしていることを結論付けた。さらに昨年に引き続き線虫C.elegansを用いた遺伝学的解析からNMD不全誘発型小胞体ストレスに対する抑制変異株も取得及びサプレッサー遺伝子の同定を進めている。また、小胞体ストレスにより発現応答するNMD制御因子について、その調節機構の解明に向けて解析を続けている。
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