研究領域 | 免疫系自己-形成・識別とその異常 |
研究課題/領域番号 |
22021012
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50327665)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
2011年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2010年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
|
キーワード | 自己免疫 / 制御性T細胞 / シグナル伝達 / NF-kappaB / 胸腺 / 分化 / NF-κB |
研究概要 |
胸腺発生型の制御性T細胞は自己免疫応答や過剰な免疫応答を抑制する。制御性T細胞の分化はT細胞抗原レセプター(TCR)とMHCクラスIIペプチド複合体の親和性が高い場合に亢進するとの仮説が有力であるが、TCRからのシグナルがどのような機構で制御性T細胞の分化を決定するのか、その分子基盤は曖昧である。他のグループによる遺伝子欠損マウスの解析から、NF-κBを活性化するシグナルとAkt活性化の抑制が制御性T細胞の分化決定に重要であることが判明している。しかしながら、これらのシグナルが未分化胸腺細胞でどのような現象を引き起こしているのか、ほとんど明らかでない。本年度は、特にTCR刺激に依存して活性化するNF-kB経路のどの段階にTRAF6が関与しているのか検討した。その結果、TRAF6はTCR刺激に依存して数分以内におきるNF-kappaB経路の活性化には必須であるが、その後に継続するNF-kappaB活性化には必要ないとの予想外の結果を得た。さらにTCRシグナルは制御性T細胞の分化に加え、T細胞の増殖にも必要であるが、TCR刺激に依存したT細胞の増殖にはTRAF6は必要でなかった。これらの結果は、TRAF6シグナルはTCR刺激に依存した制御性T細胞の分化におけるNF-kappaB活性化にだけ必要であり、増殖におけるNF-kappaB活性化には必要ないことを示唆している。次にTRAF6シグナルにより誘導され制御性T細胞の分化を決定する因子の同定を目指した。すなわちTCR刺激に依存して誘導される遺伝子の中で1時間以内に誘導され、かつTRAF6に依存して誘導される遺伝子を同定するため、マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイで同定された遺伝子についてqPCRで時簡特異およびTRAF6依存性を確認した。今後、これらの因子の解析を行うことで制御性T細胞の分化機構についての新奇知見が得られると期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
T細胞抗原レセプターシグナルによりTRAF6に依存して誘導される遺伝子群を同定できたが、その機能解析に予想外に時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題でT細胞抗原受容体シグナルにより誘導される遺伝子の中でTRAF6に依存する遺伝子が複数個同定できており、これらの機能解析により制御性T細胞の分化を決定する因子の同定とその制御機構を明らかにできると期待できる。
|