研究領域 | 免疫系自己-形成・識別とその異常 |
研究課題/領域番号 |
22021036
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
阪口 薫雄 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (70192086)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2011年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2010年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 免疫学 / 生体分子 / 細胞・組織 / 感染症 / 遺伝子 |
研究概要 |
抗原特異的な高親和性B細胞産生には、(1)抗原特異的B細胞が増殖する胚中心の形成、(2)体細胞突然変異によるIgV領域遺伝子の変化、(3)高親和性B細胞の選択的増殖、が必要である。Src型チロシンキナーゼLynの標的として胚中心B細胞でAIDと結合してIgV領域DNAへのリクルートに関与するGANPが見つかっている。このGANPをLyn欠損マウスに発現誘導すると高親和性B細胞産生を起こすことができる。本研究ではLynを介するBCR信号のどの経路が高親和性B細胞の選択と増殖・分化誘導に必要なのか、そのメカニズムをDNA修復の観点から明らかにすることを目的とした。Lyn欠損ではhyperIgM免疫不全と共に抗DNA抗体をはじめ腎炎を発症する自己免疫疾患発症素因を有する。野生型B細胞は免疫後BCR,CD40等の共刺激を受けて抗原特異的なB細胞増殖を行い末梢リンパ組織にGCを形成する。T細胞依存性抗原NP-CGG免疫後、AID発現によってIgV領域にSHMが誘導され、高親和性B細胞が選択される。一方、Lyn欠損マウスは抗原免疫によってAID発現がおこりSHMの導入も存在するが、B細胞が増殖できない、あるいは生存が維持できずGCの形成がなく、その結果高親和性B細胞が生まれてこない。そこで、Lyn欠損マウスとGANP-Tgマウスを交配し、Lyn^<-/->GANP^<Tg>マウスを作製したところ、Lyn欠損GANP^<Tg>では抗原免疫によって、AID発現し、SHMが導入されIgV_H186.2の高親和性変異(W33→L)を持つB細胞が出現した。Lyn^<-/->GANP^<Tg>マウスのB細胞においてLyn信号伝達における高親和性B細胞選択に関わるポジティブ選別が改善される。一方、自己抗体産生細胞の出現は改善されないことからネガティブ選別にはLynを介する異なった経路によって実行されることが示唆された。これらの結果はGANPが抗原レセプター信号でLynを介する経路の高親和性B細胞誘導と選別の獲得免疫応答を担うことを証明したものである。
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