公募研究
特定領域研究
生体防御反応において、ヘルパーT細胞は様々な免疫反応を制御する細胞としての重要性が知られていたが、最近の知見から生体の中にはこれらのT細胞サブセットを高次で制御するT細胞群の存在が明らかにされている。これらサブセットには、NKT細胞、Natural occurring Treg(nTreg)細胞に加え、我々が新たに同定した「記憶型T細胞」の表現型を持つNatural IL-4産生T細胞、Natural IL-17産生T細胞等がある。同様のNatural IL-17産生T細胞は胸腺にて自己抗原を認識してIL-17を産生するTh17とは異なるサブセットとして分化し,自己免疫炎症を制御する可能性があることから注目を集めていた。本研究は自己免疫性疾患を制御する新規免疫細胞サブセット「メモリー型T細胞」の分化過程の解明、そして機能の解明とリンパ濾胞型T細胞としての可能性を究明が目的であった。Natural IL-4産生記憶型T細胞は、IL-4の産生制御メカニズムの違いから、IL-4を産生する記憶型T細胞はTh2細胞とは異なることを証明した。Th2細胞はI14遺伝子の第2番目のイントロン領域に存在するHS2と呼ばれる転写制御領域によってコントロールされている。ところが、記憶型T細胞がIL-4を産生するためには、I14遺伝子の下流に位置する異なる制御領域、CNS2による制御が必要であった。さらに、記憶型T細胞の多くがリンパ系2次組織であるバイエル板に特に多く分布しており、リンパ濾胞型ヘルパーT細胞(TFH)が持つ表現型であるCXCR5,PD-1,ICOSなどを恒常的に発現しており、遺伝子プロファイリングもTFHと非常に類似していた。また、リンパ組織内における局在をみると胚中心やB細胞濾胞領域に局在することから、記憶型T細胞はTFHとしての特性を持つことが証明された。CNS2をゲノムから欠く欠損マウス由来のT細胞は、B細胞におけるIgG1とIgE抗体産生が傷害されることから、TFHにおいてCNS2によって発現が制御されるIL-4は、抗体産生を制御する重要な働きを持つことが示された。
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