研究領域 | 環太平洋の環境文明史 |
研究課題/領域番号 |
22101501
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
鵜澤 和宏 東亜大学, 人間科学部, 教授 (60341252)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2010年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 狩猟 / 家畜 / 年齢構成 / アンデス / 狩猟圧 / 生業変 / 形成期 / 人類 / 動物資源 / 先史社会 / 家畜化 |
研究概要 |
2011年8月26日~9月16日まで、ペルー、カハマルカ県に所在するパコパンパ遺跡で現地調査を行った。考古学調査によって所属年代が明らかな約6000点の動物化石を分析し、動物種構成比の時代差等について追加データを入手した。これにより、シカ狩猟からラクダ科飼育への転換の様相がより明確になってきた。同遺跡においては、形成期中期までにはラクダ科飼育が本格的に導入されたと推定されていたが、動物化石の所属年代を精査した結果、従来の想定よりも遅く、形成期後期になってラクダ科飼育が本格化することが判明した。この結果は、クントゥルワシ遺跡など、ペルー北高地に立地する他の形成期遺跡での様相と一致しており、狩猟から家畜飼育への転換には、家畜起源地からの地理的勾配が大きく影響していることが示唆された。 形跡中期と、形跡後期のシカ資料について、歯牙の萌出・咬耗状態から成長段階を推定すると、形跡中期において29%だった若齢獣の構成比が、形跡後期には62%に倍増することが明らかとなった。形成期中期から後期にかけて、狩猟対象が成獣から幼獣にシフトする傾向はクントゥルワシ遺跡においても、確認されており、遺跡ごとの狩猟の選択制の問題ではなく、狩猟の方法、あるいはシカ資源の変動が背景にある可能性が高い。幼獣主体の狩猟は将来の資源を枯渇させる危険があり、狩猟圧の高まりを意味する。また、この変化がラクダ科飼育の本格的な導入と同じ時期に生じていることが注目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主たる分析項目と位置づけた、歯牙の成長輪解析のための資料について、ペルー文化庁からの輸出許可を得るのに思いの外時間を要した。このため、同資料については、本年4月以降に分析に着手しており年度内に成果論文を発表することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
化石資料の輸出許可に手間取ったため、成長輪解析による死亡時期査定は当初計画よりやや遅れて進行している。まずこの分析を完了させることが第1である。また、パコパンパ遺跡における現地調査の結果、ラクダ科飼育の導入時期が形成期後期であることが明らかとなり、北高地ではほぼこの時期に年代がそろって来た。形成期中期から後期にかけての、気候データなどを得るなどして、生態系の変化と家畜需要の関係を精査する必要がある。
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