研究領域 | 多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究 |
研究課題/領域番号 |
22105501
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
滑川 裕介 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (00377946)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2011年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 計算物理 |
研究概要 |
本研究の目的は、格子量子色力学シミュレーションを用いたエキゾチックハドロン候補状態の性質解明である。エキゾチックハドロンとは、クォーク二体から成る中間子、クォーク三体から成る重粒子に該当しない新形態粒子である。現在までに、幾つかのエキゾチックハドロン候補が理論的および実験的に挙げられている。ただし、エキゾチックハドロンの存在が全て確立したとは言い難い。本研究では、エキゾチックハドロン候補状態の性質を定量的に明らかにし、真にエキゾチックハドロンか判定する。 研究目的達成のため、Ds中間子系における質量スペクトル計算を行った。Ds中間子は、チャームクォークおよびストレンジクォークから構成される粒子である。このDs中間子系のスカラー状態DsO*(2317)および軸性ベクトル状態Ds1(2460)の質量は、標準的なポテンシャル模型から予想される値とは一致しない。このため、両者をエキゾチックハドロンとする様々な模型が提案されている。本研究では、DsO*(2317)およびDs1(2460)を通常のクォーク二体から成る中間子と捉え、両者のスペクトルを計算した。この計算を行う際、精度向上のため、相対論的重クォーク作用を用いて、重クォークに起因する離散化誤差を削減した。また、物理点直上でシミュレーションを実行し、クォーク質量の外挿による誤差を消滅させた。 本計算により、最終的にそれぞれの質量値として、DsO*(2317)=2335(35)(10)MeV、Ds1(2460)=2451(28)(11)MeVを得た。最初の括弧内数値が統計誤差であり、次の数値が系統誤差である。2体クォーク演算子を用いた我々のシミュレーション結果は、1~2%の精度で実験値を再現している。本研究により、DsO*(2317)およびDs1(2460)はエキゾチックハドロンではなく、クォーク二体からなる中間子である事が示された。
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