配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2011年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2010年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究概要 |
22年度に,フェロセン(Fc:Cp_2Fe)分子上下2個のCp環にジアセチレン結合で直結されたπ電子系誘導体の一般合成法の開発を目指し,反応条件の検討を行った。その結果,末端アセチレン基をTMSで保護したFc誘導体をカップリング成分として用い,脱保護と酸化的クロスカップリングをワンポットで行なって,1,1'-ビス(ジアセチレン結合)架橋拡張共役系Fc誘導体の合成に成功した。末端アセチレン部をトリメチルシリル基(TMS)で保護した誘導体をそのままカップリングの一成分として用い,TMS基の脱保護とともに他の末端アセチレン体との酸化的クロスカップリング反応のタンデム条件を適用することによって1,1'-ビス(ジアセチレン結合)拡張共役系Fc誘導体を構築するという手法である。23年度は,本法を利用してアリール系成分のみならず,アルケニル系やアルキル系成分を末端に有する拡張系Fc誘導体の合成例を増やすとともに,機能性部位を賦与したヘテロアリール系成分の最初の例としてチオフェン(Th)環を含むFc誘導体の合成にも成功した。特に本年度は,合成した幾つかの誘導体について,UV-visや^1H NMRスペクトルなどを用い様々な外部刺激により駆動するFcの軸回転運動を制御調整し,Fc誘導体の機能化を図る要素や手法を確立した。フェロセンの軸回転特性を応用して重金属検知センサーとしての機能発現を賦与することができた。また,電気化学的にも,当該誘導体における2個の機能性成分の協働性を反映するように,関連する比較化合物に対して酸化還元電位に大きな低電位シフトが観察された。この電気化学的安定性は,Fc誘導体を機能性材料として応用することを念頭に置いた場合,極めて重要な知見である。
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