配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2011年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2010年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究概要 |
本年度は、連続する2つの異なる遷移金属触媒反応の同一時空間集積化を目指し、二つの目標化合物アミノベンゾフランと異種複素環のα,α'-二量体合成における触媒反応の検討を行った。 (1)パラジウム触媒による2-シアノメチルフェノール,臭化アリール,一酸化炭素からの一段階3-アシル-2-アミノベンゾフラン合成 2-シアノメチルフェノール,臭化アリール,一酸化炭素を二種類のパラジウム触媒の存在下反応させることにより、カルボニル化反応によるエステルの生成と,続く環化異性化反応により3-アシル-2-アミノベンゾフランが得られることを見出した。本反応の発見により,従来合成が難しいとされていた2-アミノベンゾフランが効率良く合成できた。また,本研究では,二種類の配位子を単純混合するだけで各段階の反応を選択的に触媒する錯体が調製できることも明らかにした。 (2)触媒的縮合・環化異性化反応による異種複素環のα,α'-二量体合成 アルキンで連結したビスα,β-不飽和カルボニル化合物に対して,触媒量のルテニウム錯体を作用させるとカルベン錯体を経由する環化異性化反応が起こり,ビフランが得られることを見出し,既に一部を報告している。 本研究では,異種ビス複素環を構築するために,薗頭カップリング反応を用いてその鎖状前駆体基質の合成に着手したが,予想に反し鎖状カップリング生成物ではなく直接チエニルフランが良好な収率で得られた。この結果を受けて,基質適用範囲及び触媒活性種の検討を行い、一般性のある異種複素環のα,α'-二量体のワンポット合成法を確立した。 本手法の確立により,チエニルフラン,フリルピロール,チエニルピロールを温和な条件下,薗頭カップリング反応による中間体を単離すること無く簡便に合成できるようになった。 以上二つのタンデム型反応の発見により,学術的な観点からは,2つの異なる遷移金属触媒反応の同一時空間集積化を実現できたことになる。
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今後の研究の推進方策 |
遷移金属触媒反応の同一時空間集積化によって合成できる化合物群は,生理活性物質や機能性π共役材料のための重要な合成中間体であり,それらの標的化合物の効率的合成を完成させるとともに,マイクロフロー反応装置の利用による合成の更なる効率化を目指す。また,新たな多段階触媒反応の同一時空間集積化による効率的複素環合成反応の発見に務める。
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