研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
22106523
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
依光 英樹 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00372566)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2011年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2010年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 時空間集積 / 多重アリール化 / パラジウム / CH直接変換 / 機能性有機材料 / ポルフィリン / パラジウム触媒 / アリール化 / テトラチアフルバレン / 同一時空間集積化 / C-H活性化 |
研究概要 |
機能性π共役系母核周辺部に芳香環をはじめとする別のπ共役系ゴニットを密集配置すれば、優れた機能・特性を有する斬新なπ共役系分子の創出に繋がる。本申請の研究ではポルフィリンならびにテトラチアフルバレン(TTF)の集積合成、具体的には同一時空間反応集積化に基づく直接的複数アリール化について検討した。今年度は特にアリール化の位置選択性の制御について研究を行った。 パラジウム触媒存在下ポルフィリンのβ位を臭化アリールを用いて直接アリール化することに成功した。同一時空間反応集積化に基づくポルフィリン類の新規高効率周辺修飾法として有望である。さらに、meso位にホルミル基をもつニッケルポルフィリンに対して同様の反応を行うと、ホルミル基による立体障害のため反応の効率は低下するものの、ホルミル基の隣りのβ位にアリール基が位置選択的に二つ導入された生成物が得られた。 TTFの四重アリール化を見いだし、テトラアリールTTFの特異な電子物性を明らかにした。また、TTFに嵩高いトリイソプロピルシリル基(TIPS基)を導入することで、直接アリール化を片側のジチオール環のみに位置選択的に行えると考えた。このTIPS-TTFは、TTFに強塩基とトリイソプロピルシリルトリフラートを作用させる、ことにより、容易に収率よく調製できた。実際に、TIPS-TTFにパラジウム触媒を用いて直接アリール化を行い、その後TIPS基を脱保護すると目的の非対称ジアリールTTFが高収率で得られた。さらに、得られたジアリールTTFに再び直接アリール化を行うことで、非対称に四カ所アリール基が置換したTTFを合成することに成功した。TIPS-TTFは位置選択的ジアリール化だけでなくジリチオ化にも有効であり、ジスルフィドをはじめとする様々な求電子剤で捕捉可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
直接的にポルフィリンを効率よく化学修飾できるようになり、新規ポルフィリン類縁体の革新的合成法を開発することができた。導入できる置換基の多様性に鑑みると、自在合成に向けて大きな進展があった。また、それに加えて、テトラチアフルバレンというポルフィリンとは別の機能性有機分子の自在合成法も開発することができた。予想以上の広がりを見せている。
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今後の研究の推進方策 |
同一時空間反応集積化のメリットを最大限活かした多重アリール化を利用して、超高効率でπ共役系母核を修飾し、多彩なπ共役系会子ライブラリを構築することができた。機能性分子の効率的修飾法をさらに開拓し、有用な機能性分子を発掘したい。
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