研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
22106540
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70252591)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2011年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2010年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 炭素-水素結合活性化 / 電解酸化 / 炭素-ヘテロ原子結合生成 / 遷移金属触媒 / ワンポット反応 / 炭素-ヨウ素結合形成 / クロスカップリング / 環境調和型反応 / 電解酸化反応 / 炭素-水素結合切断 / ハロゲン化 / オン/オフスイッチング / ワンポットタンデム反応 / 時間的反応集積化 / パラジウム触媒 |
研究概要 |
平成23年度は、芳香族化合物の炭素-水素結合を遷移金属錯体により切断することにより生成する金属-炭素結合を、ヨウ素の電解酸化により発生させたヨードニウムイオンと反応させ、炭素-ヨウ素結合を触媒的に形成する変換反応の開発を目指して検討を行った。基質にアリールピリジン類を用い、パラジウム触媒存在下、電解酸化条件で反応を行うと、基質のオルト位にヨウ素基を導入できる反応の開発に成功した。この生成物は鈴木-宮浦クロスカップリング反応において高い活性を示す化合物である点に注目し、Pd(II)/Pd(IV)サイクルで反応が進行する炭素-水素結合の酸化的ヨウ素化反応を行った後に、電解酸化の電流をOFFにしてPd(0)/Pd(II)サイクルで進行するクロスカップリング反応をワンポットで進行させることを検討した。酸化的ヨウ素化反応後に電流をOFFにし、反応溶液に炭酸カリウムとアリールボロン酸を加えて加熱条件で反応を行ったところ、アリールピリジンのアリール化生成物が高収率・高選択的に得られた。この研究結果は、電解反応の特長である電流のON/OFF制御という単純な操作で、異なる触媒サイクルを進行させることができることを示しており、有機合成反応の新しい概念に基づく反応を開発できたといえる。 ヨウ素化反応の検討途上で、基質のアリールピリジン類が脱水素反応を起こし、二量化する反応を見出した。この反応の進行には、ヨウ素の使用と電解酸化条件で反応を行うことが必須であることから、ヨウ素の電解酸化により生じるヨードニウムイオンが反応に関与していることが明らかとなった。ヨウ素は反応の進行に必要であるが、生成物中に取り込まれないことから、ヨウ素の使用量を触媒量に低減させても目的の二量化反応は進行させることができた。この研究により、化学量論量の酸化剤の使用を必要とせず、化学廃棄物の生成を抑制できる新しい合成プロセスが開発できたといえる。
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