配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2011年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2010年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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研究概要 |
牛体分子の殆どはキラルな構造・配置を持ち,その機能性発現に重要な役割を果たしている.触媒反応に極めて重要である表面や界面のような分子数が非常に少ない箇所では,キラリティの評価は難しく,まだ十分に理解していないことが事実である.本研究では,このような不斉表面・界面のキラリティの高感度検出及び分子配向の決定を,和周波発生(SFG)振動分光法と原子間力顕微鏡(AFM)によって実現することを目指す. 本研究ではキラリティ測定のために最適化されたブロードバンドSFG計測システムを用い,表面のキラルとアキラルの信号を測定した.(1)ビナフトール系キラル分子:キャスト法やスピンコーティング法で作製された薄膜から強いSFG信号を観測した.アキラル信号との干渉により,キラリティの違いについて測定してみた.R体とS体のSFGスペクトルのピークの向きが完全に逆となったが,ラセミ膜では,その差分が非常に小さいことから,SFG分光によりキラリティの検出ができたと分かった.さらに,単分子膜レベルの界面キラリティを高感度に検出するために,チオール結合を含むビナフトール誘導体を新規に合成し,金基板表面に自己組織化単分子膜の構築も試みている.(2)リン脂質系キラル分子:キャスト法で作製した(L)または(D)のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)の脂質分子のからのキラリティのSFGキラル信号が検出できた.LB法で作製したDPPCの超薄膜からのキラルSFG信号の計測にも成功し,キラルSFG測定の感度が証明された.さらに,L型リン脂質分子のみと触媒作用する酵素PLA_2の立体選択の特性を利用し,種々のキラル組成の脂質二分子膜の加水分解に伴う膜表面の構造変化について調べ,酵素反応の速度制御や反応機構理解に貢献できた.
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