研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
22108525
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80270693)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2011年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2010年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 磁性 / 電子移動 / スピン転移 / 双極子モーメント / クラスター / スピンクロスオーバー / グリッド |
研究概要 |
光や熱、圧力等の外部刺激により磁気特性、電気伝導性などの様々な物性を自由に制御できる新しい物質の開発を目指した研究が盛んに行われている。本研究では、優れた光・磁気・電子機能を有する新規刺激応答型金属錯体クラスターを合成することを目指し研究を行い、光照射により金属間電子移動を示す三核鉄コバルト錯体{[FeTp(CN)_3]_2Co(Meim)_4}・6H_2O(Tp=hydrotris(pyrazoly)borate; Meim=N-methylimidazole)を開発することに成功した。鉄コバルト三核錯体は水/メタノール混合溶媒中でCo(NO_3)_2・6H_2OとBu_4N[FeTp(CN)_3]を反応させることで結晶を得た。磁気特性を測定したところ、約225Kでヒステリシスを伴う磁化の変化が観測された。室温及び低温での_xT値から、これはFe-CO間電荷移動相転移が誘起され、Fe^<III-LS>-CN-Co^<II-HS>-NC-Fe^<III-LS>状態からFe^<II-LS>-CN-Co^<III-LS>-NC-Fe^<III-LS>状態へと変化したことを示唆している。従ってこの相転移は以下のように表せる;{[Fe^<III>Tp(CN)_3]_2Co^<II>(Meim)_4}・6H_2O〓 {[Fe^<III>Tp(CN)_3][Fe^<II>Tp(CN)_3]-Co^<III>(Meim)_4}・6H_2O。この変化はX線構造解析からも支持された。また、光応答性を調べるために、5KにおいてFe^<II>からCo^<III>への電荷移動吸収バンドを励起したところ_XT値の顕著な増大が観測された。これは、光照射により電子移動が誘起されFe^<II-LS>-CN-Co^<III-LS>-NC-Fe^<III-LS>からFe^<III-LS>-CN-Co^<III-LS>NC-Fe^<III-LS>状態(準安定状態)へと変化し準安定状態が低温で保持されたことを示している。準安定状態は温度を100Kまで上げると最安定状態(Fe^<II-LS>-CN-Co^<III-LS>-NC-Fe^<III-LS>)へと緩和した。こうしたFe^<II-LS>-CN-Co^<III-LS>-NS-Fe^<III-LS>状態とFe^<III-LS>-CN-Co^<II-LS>-NC-Fe^<III-LS>状態間の変化は、分子レベルでの中心対称性を持つ構造と中心対称性を持たない構造間の変化であり、磁性のスイッチの観点からだけでなく、双極子モーメントや二次非線形感受率のスイッチの観点からも重要である。DFT計算により双極子モーメントを求めたところ、Fe^<II-LS>-CN-Co^<III-LS>-NC-Fe^<III-LS>(低温相)の双極子モーメントは18.4D(デバイ)、Fe^<III-LS>-CN-Co^<II-HS>-NC-Fe^<III-LS>(高温相)の双極子モーメントは0Dであることが分かった。
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