研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
22108534
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
邨次 智 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (20545719)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2011年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2010年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 金属ナノ粒子 / ナノクラスター / 酸化物表面 / 表面プログラム空間 / テンプレート / ピリジン / マトリックス / 触媒 / プログラム空間 / ポルフィリン / シリカマトリックス / 電気化学 / 表面 |
研究概要 |
本年度は、金属原子数、元素組成、酸化数が揃った金属ナノ粒子を合成する新しい金属ナノ粒子精密合成法の創製に向け、触媒担体となる酸化物表面上に「表面プログラム空間」を構築し、金属ナノ粒子、ナノクラスターを調製する方法について重点的に検討した。金属ナノ粒子、ナノクラスター前駆体として、決まった金属原子数、元素組成からなるユニットである金属クラスター錯体を(1)酸化物表面に直接固定化、及び、(2)酸化物担体上に設けたテンプレート配位子に選択的に金属クラスターを固定化する方法を検討し、その周囲に有機及び無機薄層マトリックスを積層することで「表面プログラム空間」を構築する方法を種々検討した。 (1)の方法では、Irダイマー、Ru3核カルボニルクラスターの酸化物表面固定化では、クラスター構造を保って固定化が進行することを明らかにした。シリカ固定化Mn4核クラスターの周囲にシリカ薄層マトリックスを構築する手法(温度、積層回数)を検討することで、アルケンの選択的エポキシ化触媒反応時に金属種の溶出を抑制する最適なマトリックス構築条件を見出した。(2)の方法では、ピリジン配位子修飾シリカを用い、ピリジンをテンプレートとしてRu3核アセテートクラスターの固定化を行ったところ、Ruクラスターはピリジンとの配位結合により表面上に集積されたことがFT-IR、UV-vis及びRuK端EXAFSより示唆された。続いてその周囲にシリカ薄層マトリックスの積層を行った。固定化Ruクラスターに対し加熱-還元処理を行ったところ、アルコールの選択酸化反応が可能なRuナノクラスターへと変換可能であることを見出した。また、「表面プログラム空間」内への固定化を志向し合成した異種金属(Co-Mo、Rh-Mo)クラスター前駆体の構造と電気化学特性について評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
金属クラスターの酸化物表面への直接固定化、及び、酸化物表面に固定したテンプレート配位子を用いた固定化により金属クラスター構造を保ったまま固定化する条件を見出した。続いて、「表面プログラム空間」構築の鍵となる薄層マトリックス積層、さらに加熱-還元処理を行うプロセスで各種金属ナノクラスター(MnおよびRuクラスター)の調製に成功したのみならず、触媒反応への展開も行うことで、これらの金属ナノクラスターが反応時に金属種の溶液への溶出が抑制され、それぞれ触媒として機能することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
酸化物表面上に形成した「表面プログラム空間」を用いることで触媒として機能する金属ナノ粒子、ナノクラスターの調製に成功したことを踏まえ、「表面プログラム空間」内に金属クラスター前駆体の配位結合による集積を行い、構成金属原子数、元素組成が作り分けられた金属ナノ粒子、ナノクラスターを創出するとともに、これらに特有の新規触媒反応を開拓する。
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