公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ウズラやニワトリの輸卵管には、精子貯蔵管と呼ばれる特殊な組織が存在し、射精された精子は精子貯蔵管内で数週間~数ヶ月もの間、生存したまま貯蔵され、受精能を維持することが知られている。しかし、精子がいかにして、精子貯蔵管に侵入し、いかにして維持され、そしていかにして再び活性化されて受精を達成するのかの分子機構は不明である。本研究では、精子貯蔵管の特殊性に焦点をあて、貯精の分子機構を解明することを目的とした。本研究により、一旦精子貯蔵管に蓄えられた精子は、排卵のトリガーとして働く性ステロイド、プロゲステロンにより再び活性化され、放出されることが明らかになった。また、プロゲステロンの刺激は、精子貯蔵管に発現しているプロゲステロン膜受容体αによって伝達されることも解明した。プロゲステロンという一つの性ステロイドが排卵と精子放出の2つの現象を制御することで、鳥類では効率よく精子と卵子が出会うことができ、これが受精戦略として重要であることが初めて明らかとなった。また、ウズラの輸卵管の抽出物をマウスに免疫し、計61種類のハイブリドーマからなる、輸卵管抽出物に対するモノクローナル抗体ライブラリーを構築した。ハイブリドーマのスクリーニングを進めたところ、輸卵管抽出物の精子運動継続延長効果を打ち消す働きを持つ16B2B2と名付けた抗体を取得することに成功した。この抗体は分子量約200 kDaの分子を認識しており、この分子が輸卵管における精子の貯蔵に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (26件)
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