研究領域 | 天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現 |
研究課題/領域番号 |
22113509
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
桑田 一夫 岐阜大学, 大学院・連合創薬医療情報研究科, 教授 (00170142)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2011年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2010年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | プリオン / NMR / 天然変性 / CPMG緩和分散 / 励起状態 / 立体構造 / ダイナミクス / 構造変換 |
研究概要 |
^<15>Nラベル・リコンビナントプリオン(mPrP (23-231))タンパク質を大腸菌で発現し、CPMG緩和時間分散法測定で遅い揺らぎを測定した。NMRは、800MHz(クライオプローブ付き)、及び600MHz(クライオプローブ付き)を使用し、パルス系列はConstant time CPMG緩和時間分散法を使用した。スペクトル解析は、nmrPipeとSparkyを使用した。遅い揺らぎは、等法的な振動モードとは異なり、強い異方性を持つと考えられたため、特にプリオンのN端末の異方性を特徴づけるためパラメーターを最適化した。その結果、プリオンのポリT領域(190-193、TTTT)とポリA領域(115-118、AAAA)のみに、マイクロ秒からミリ秒の遅い揺らぎが観測された。これは両領域が、ミリ秒に近いオーダーの非常に遅い揺らぎを行っている可能性があることを示している。また、これらの領域は、A120における2面角の回転により、接触と離開を行うことがMD計算により分かった。ポリA領域は、哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類を通じて保存されている。一方、ポリT領域は、哺乳類にのみ存在する。プリオン病は、哺乳類でのみ見られることから、ポリTがその発症に関わっていることが示唆される。また、これら二つの領域の接触が初期核形成に関与している、と考えられる。これまで我々が開発してきたケミカルシャペロンとしての抗プリオン化合物は、効果の強いものほど、ポリT領域に強く結合することが分かっている。今後、接触立体構造が分かれば、プリオン構造変換機構の解明や、新しい治療薬の開発につながる、と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的をを概ね達成している。
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今後の研究の推進方策 |
励起構造のポピュレーションを増加させるため、高圧NMRを用いた緩和実験を計画している。これらの研究は、キネティックNMRの開発に接続される(桑田一夫:基盤研究B)。問題点としては、緩和測定に一ヶ月以上の時間がかかることである。励起構造のポピュレーションを増やして、効率よく測定できるシステムを構築する予定である。
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