研究領域 | 天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現 |
研究課題/領域番号 |
22113518
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
川上 隆雄 東京医科大学, 医学部, 客員准教授 (40366117)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2011年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2010年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | 天然変性蛋白質 / プロテオーム / 血清マーカー / 組織分泌蛋白質 / 肺腺癌 / 翻訳後修飾 / 蛍光ラベル / 蛍光標識二次元電気泳動 |
研究概要 |
生理条件下で球状構造をとらず、あるいは部分的に不規則領域(変性領域)をもつ一群の蛋白質は天然変性蛋白質と呼ばれる。生体内に存在する天然変性蛋白質を同定することは当該蛋白質群の構造と機能を理解するために重要である。本研究では組織から分泌される蛋白質群に焦点を絞った。 ・研究代表者らは以前に呼吸器喘息のモデル動物を用いた研究で、肺胞洗浄液中に存在する分泌蛋白質Sec1413を同定した。この蛋白質は炎症の進展とその量比が逆相関していた。mRNAレベルの解析では、Sec1413蛋白質の発現が気道上皮の繊毛細胞に限定されていることが分かった。この結果から、炎症進展と繊毛の脱落との関係が示唆された。Sec1413は繊毛脱落をモニターするための炎症マーカー蛋白質として今後の応用が期待できる。 肺癌の早期診断マーカーの探索では、昨年度までに腫瘍組織から分泌される一群の蛋白質を分析した。ヒト肺腺癌組織を無血清培地で短期培養し、培養上清中の組織由来蛋白質を蛍光標識二次元電気泳動で展開した。二次元ゲル上で検出された分離スポットのうち、34個のスポットは正常組織に対する癌組織の平均蛍光強度比が2.0以上を示した(p<0.05)。これらのスポットから、surfactant protein AをはじめとしてII型肺胞上皮細胞への組織学的分化の指標となる蛋白質が同定された。また、腫瘍組織に共通して発現の亢進することが示唆される蛋白質も含まれていた。 これらのマーカー候補蛋白質群を、変性領域予測プログラムを用いて解析した。配列全長の半分以上が変性領域として予測される蛋白質が複数同定された。細胞外分泌蛋白質は変性領域を持たないと言われている。したがって今回の解析結果は、同定された蛋白質群が細胞の分泌装置を通じて生じたものと、それ以外に細胞障害などにより漏出した分子から構成されていることを示している。これらの情報は、マーカー蛋白質の機能・局在性と疾患の機序との関連を論じる上で有用である。
|