研究領域 | 天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現 |
研究課題/領域番号 |
22113519
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鳥越 秀峰 東京理科大学, 理学部, 准教授 (80227678)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2011年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2010年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | 天然変性蛋白質 / 3本鎖DNA / DNA結合蛋白質 / 3本鎖DNA認識 / 遺伝子発現制御 |
研究概要 |
遺伝子発現制御領域の2本鎖DNAの一部がほどけて生じた1本鎖DNAが他の2本鎖DNA領域に結合して分子内3本鎖DNAを形成し、3本鎖DNA結合蛋白質STM1がこれに結合し、下流の遺伝子発現を制御する可能性が指摘されている。筆者は、STM1の1-113アミノ酸が3本鎖DNA結合ドメイン(TBD)であり、2本鎖DNAた結合せず、3本鎖DNAに特異的に結合することを既に明らかにしている。本年度は、STM1TBDの1本鎖DNA,1本鎖RNA,4本鎖DNA各々との結合能をゲルシフト法で解析し、STM1TBDがいずれとも結合しないことを明らかにした。また、3本鎖DNAには、2本鎖DNAにホモピリミジン1本鎖DNAが結合するピリミジン型3本鎖DNAと、ホモプリン1本鎖DNAが結合するプリン型3本鎖DNAがあるが、STM1TBDのピリミジン型3本鎖DNAおよびプリン型3本鎖DNA各々との結合能をゲルシフト法で解析した。STM1TBDがプリン型3本鎖DNAと結合するが、ピリミジン型3本鎖DNAと結合しないことを明らかにした。次に、STM1TBDがピリミジン型3本鎖DNA形成、およびプリン型3本鎖DNA形成を促進できるかを、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析した。STM1TBDはプリン型3本鎖DM形成を促進できるが、ピリミジン型3本鎖DNA形成を促進できないことを明らかにした。STM1TBDによるプリン型3本鎖DNAの形成促進は、プリン型3本鎖DNAの下流に位置する標的遺伝子の発現制御に関与する可能性が示された。 一方、STM1TBD内のLys,ArgをAlaに置換した点変異型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能をゲルシフト法とBiacoreで解析した。点変異型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能は、野生型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能に比べて有意に低下し、これらの変異した塩基性アミノ酸が3本鎖DNAとの結合に関与している可能性が示された。更に、STM1TBD内のPhe,TrpをAlaに置換した点変異型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能をゲルシフト法とBiacoreで解析した。点変異型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能は、野生型STM1TBDと3本鎖DNAの結合能とほぼ同等であり、変異した芳香族アミノ酸は3本鎖DNAとの結合にほとんど関与していないと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
点変異型3本鎖DNAや点変異型STM1を活用して、STM1の3本鎖DNA認識機構を明らかにすることができたから。また、STM1が3本鎖DNA形成を促進できることを明らかにすることができたから。この3本鎖DNA形成促進と遺伝子発現制御が関連する可能性を見出すことができたから。
|
今後の研究の推進方策 |
STM1の3本鎖DNA認識と遺伝子発現制御の生物学的意義をさらに明らかにするために、出芽酵母内のin vivoにおけるクロマチン構造や遺伝子発現制御へのSTM1の影響を解析する。
|