研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
22114504
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森長 真一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (80568262)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2011年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2010年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | エコゲノミクス / 気孔 / CO2応答 / 適応進化 / 生態ゲノム学 / CO2応答関連遺伝子 / 生体ゲノム学 |
研究概要 |
産業革命以降、大気CO2濃度は上昇をし続け、特に近年の上昇速度の増加は著しい。例えば、ハワイのマウナ・ロアでの観測によれば、この50年の間に315ppmから380ppmへと変化している。そこで本研究では、CO2濃度上昇に対する進化的応答を明らかにするために、ハクサンハタザオの現生個体と標本個体を用いて、奥新川・月山・板室・伊吹山・藤原岳・箕面集団におけるCO2応答関連遺伝子の時空間動態を解析した。特に気孔の形態形成や密度調節に重要な役割を持つHIC、HT1、SDD1、TMM、SLAC1、STOMAGEN、SCRM1、SPCH、MUTE、MKK4、EPF2遺伝子に着目した。伊吹山・藤原岳の現生集団における多型解析の結果、HIC、HT1、TMM、STOMAGEN、SCRM1、SPCH、MKK4、EPF2遺伝子において、集団内アミノ酸変異が見つかった。そこで、これらの遺伝子を対象に標本個体の多型解析を行なったところ、HIC、MKK4、EPF2遺伝子において対立遺伝子頻度が時間的に変動していることが明らかとなった。さらに、奥新川・月山・板室・箕面集団において、これらの遺伝子の対立遺伝子頻度の変化を解析した。その結果、奥新川・月山・板室・箕面集団では、伊吹山あるいは藤原岳集団において保持されていたアミノ酸変異が見られない事が分かった。その一方で、奥新川・月山・板室・箕面のそれぞれの集団でのみ多型のあるアミノ酸変異が見つかり、それらの対立遺伝子頻度に時間的変動は見られない事が分かった。この事は、異なる機能をもつ対立遺伝子がそれぞれの集団で独立に進化し、それが集団内に広がってきた可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的どおり、複数のCO2応答関連遺伝子に着目し、多数の標本個体と現生個体を用いてその時空間動態を解析する事に成功したため。また、集団ごとに動態が異なることを明らかにし、さらには時間とともに対立遺伝子頻度が変化する遺伝子も発見する事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
標本個体において遺伝子を解析するのは、DNAの断片化の影響によって、現在でも容易ではない。今後は、DNAが断片化していても効率的に遺伝子を解析できる次世代シーケンサーを導入する。
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