研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
22114507
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
21,710千円 (直接経費: 16,700千円、間接経費: 5,010千円)
2011年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2010年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 環境対応 / 高CO2濃度 / 高温 / イネ / デンプン / ヌクレオチドピロホスファターゼ / 糖タンパク質 |
研究概要 |
平成23年度の研究成果は下記の通りである。 (1)イネ澱粉代謝関連糖タンパク質のプラスチド局在化機構の解明:イネヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ糖タンパク質アイソザイム(NPP1、2、3、6)の遺伝子にGFPを連結し、イネ細胞に導入、発現させ、それらの葉緑体局在化能をレーザー共焦点蛍光顕微鏡で観察した。NPP2-GFPとNPP6-GFPはNPP1-GFPと同様に葉緑体に局在したが、NPP3-GFPは葉緑体局在化能を持たないことが明らかになった。NPP1、2および6のN-グライコーム解析から、NPP糖タンパク質のプラスチドターゲティングにトランスゴルジが深く関与することが推察された。さらに、トランスゴルジマーカー遺伝子ST-mRFPをイネに導入し、その挙動を観察したところ、NPP1強発現下でST-mRFP標識膜小胞が活発に葉緑体に取り込まれることが見いだされた。これらの結果から、NPP糖タンパク質のプラスチド局在化機構にトランスゴルジ体-プラスチド間の膜交通が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。 (2)イネ澱粉集積抑制酵素機能欠損変異体の澱粉集積特性に及ぼす高CO_2濃度および高温の影響:植物CO_2インキュベータを用いてTos17挿入変異体npp1(日本晴)の初期成長期(10~17d)の生重量と澱粉蓄積量に及ぼす高CO_2濃度(1,200ppm)、高温(昼12h,33℃、夜12h,28℃)の影響を調べた。npp1変異体シュートにおいては、対照条件(光:300μmol/m^2/sec、CO_2濃度:400ppm、温度:昼12h,28℃、夜12h,23℃)から高CO2条件に移すと顕著な生重量と澱粉蓄積量の増加が観察された。澱粉蓄積については高CO_2・高温条件に置くと増加傾向がより高まることが見いだされた。このnpp1変異体の高CO_2応答機構を探るために、iTRAQ標識法を用いた定量的ショットガンプロテオミクス解析を試みた。高CO_2条件下においてnpp1変異体のタンパク質発現は野生型に比べて大きく変動することが観察され、npp1変異体が高CO_2に敏感に応答しているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)イネデンプン代謝関連糖タンパク質のプラスチド局在化機構の解明については、プラスチド糖タンパク質NPPのN-グライコーム解析が進んだ。(2)イネ野生型およびデンプン集積抑制酵素機能欠損変異体のデンプン集積特性に及ぼす高CO_2濃度および高温の影響については、npp1変異体が高CO_2環境下で高効率に緑葉デンプンを集積することが明らかになった。以上の研究成果が得られていることから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の研究計画としては、植物CO_2インキュベーターを用いてnpp1幼植物体におけるショ糖・澱粉蓄積が最大となる最適なCO2濃度、温度、光、湿度並びに窒素添加条件の決定を試みる。また、平成24年8月に竣工予定のバイオトロン群(L4.5 x W4.5 x H1.8~2.2m: CO_2濃度制御型4基、通常型4基;L4.5x W9 x H1.8~2.2m: 通常型1基)を用いてスケールアップして最適条件の確認を行う。AmyI-1遺伝子の機能欠損イネ(amyI-1:日本晴Tos17挿入変異体)についてもnpp1と同様にショ糖・澱粉蓄積に対する高CO_2・高温環境の影響を調べる予定である。
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