配分額 *注記 |
9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2011年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2010年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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研究概要 |
高CO_2条件下で育成したイネ葉において顕著に発現促進されるOsCCT1とOsTPK1について高発現,ノックダウン形質転換イネを作出し生理機能の解析を行った. これまでの研究で,OsCCT1は株の開帳度に関係することが示唆された.本年度は大気条件と高CO_2条件で育成した場合の第2葉分げつと主稈の間の角度について解析した.いずれのCO_2濃度においても分げつ角度は高発現形質転換イネで増加した.分げつ角度は光強度や生育CO_2濃度と正に相関することが明らかとなり,光合成が促進され,植物体内の糖濃度が高いと分げつの開帳度が増すものと考えられた.また,その他の生育特性に関しては分げつ数が高発現イネで少なく,ノックダウンイネで多くなる傾向が認められた.このような分げつ数への効果は高CO_2で育成した場合も認められた.光合成速度,気孔伝導度は生育CO_2濃度によらず,両方の形質転換イネで僅かに低下する傾向が認められた.高CO_2条件で育成した場合,両方の形質転換イネで乾物重が低下する傾向が認められ,その低下は高発現形質転換イネでより顕著であった.以上の結果,OsCCT1は分げつの角度や数を決める上で重要な働きを担っていること,高CO_2条件での生育や光合成においてOsCCT1の適切な発現が重要であることが示唆された. OsTPK1の高発現,ノックダウン形質転換イネについても生理解析を行った.OsTPK1の発現量を変化させても光合成速度,生育特性はほとんど影響を受けなかった.しかし,両方の形質転換イネで葉身,葉鞘の乾物重が低下することがわかった.マイクロアレイを行ったところ,高発現,ノックダウン形質転換イネは非常に類似した発現プロファイルを示した.この結果から,高発現はドミナントネガティブになっている可能性が考えられた.両方の形質転換イネにおいて複数のエクスパンシン遺伝子が顕著に発現抑制されていた.高CO_2処理をするとイネは葉身が小さくなることが知られていることから,OsTPK1はそのような葉の形態的な応答に関係している重要な遺伝子ではないかと考えられた.
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