研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
22114514
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
北尾 光俊 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (60353661)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2011年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2010年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | 高CO_2環境 / ダウンレギュレーション / 光阻害感受性 / 温度ストレス / 光合成 / 高温耐性 |
研究概要 |
高CO_2環境下では光合成による同化産物の生成が促進されるが、貧栄養条件や生育停止期における個体成長の低下は葉への糖・デンプンの集積を引き起こし、光合成の「負の制御」(ダウンレギュレーション)が生じることが知られている。本研究では、落葉広葉樹を対象として、高CO_2環境における糖・デンプンの集積が個葉の温度ストレス感受性へ与える影響を光合成機能面から解明することを目的とした。秋季の気温低下に際して高CO_2処理が光阻害に与える影響を評価するため、森林総合研究所実験林苗畑に設置した開放型CO_2暴露装置内に1年生シラカンバ苗木を植栽し、一晩暗順化後のFv/Fmの季節変化を測定した。通常大気のCO_2濃度が380ppmであるのに対して、高CO_2処理はCO_2を付加することで濃度が550ppmになるように制御を行った。Fv/Fmの測定は8月から11月まで行い、測定期間における日平均気温は30℃から10℃まで低下した。8月ならびに10月に行った光合成ガス交換測定により、550ppmのCO_2処理によって光合成のダウンレギュレーションが生じていることが示唆された。一方で、11月までの秋季の気温低下にともなうFv/Fmの低下はほとんど見られず、CO_2処理による影響も認められなかった。これらの結果より、大気CO_2濃度の上昇は光合成のダウンレギュレーションが生じた場合においても、秋季の気温低下に伴うシラカンバの葉の光阻害感受性に影響を及ぼさないことが示唆された。これらの知見は、将来予測される高CO_2環境下での温度影響を考慮した森林動態の把握に基礎的知見を提供するものである。
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