研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
22114516
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
徳富 光恵 (宮尾 光恵) 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物生産生理機能研究ユニット, ユニット長 (70181980)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2011年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2010年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 高CO2環境 / 光合成のダウンレギュレーション / 炭水化物の過剰蓄積 / イネ / 気孔 |
研究概要 |
大気条件で育成したイネ(7.0葉期)を高CO_2環境に移し、新たに完全展開した葉身を順次解析することによって、さまざまな高CO_2応答それぞれについて、高CO_2環境が葉のどの発達段階で感知されるのか(高CO_2環境シグナルの作用点)を調べた。 完全展開葉では光合成のダウンレギュレーションは起こらないとされていたが、窒素欠乏条件では、形態的に完全展開した葉(7.0葉期の第7葉)でも、約2日間の高CO_2処理で葉身の最大タンパク質含量(7.7葉期)が低下することがわかった。葉のサイズの変化(葉身幅と葉身長の減少)は、高CO_2処理開始後3~4枚目の葉(第10葉~第11葉;高CO_2処理開始時点の発達段階は、フード型葉原基~幼葉)で現れることがわかった。また、葉身厚の増大は処理開始後4枚目の葉(第11葉;処理開始時点では幼葉)で現れた。葉身幅と葉身長の減少は窒素欠乏、高CO_2それぞれで引き起こされたが、葉身厚の増大は窒素欠乏では認められず、高CO_2処理に特異的な現象であることがわかった。気孔パラメーターには高CO_2処理の効果はほとんど認められなかった。 葉身の表皮構造を調べた実験で、窒素欠乏による葉身長の減少は表皮細胞数の減少に起因すること、一方、高CO_2処理の場合は表紙細胞が短くなることに起因することがわかり、メカニズムが異なることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イネの様々な高CO_2応答それぞれについて高CO_2環境シグナルの作用点を特定し、光合成のダウンレギュレーションと葉の形態変化とは作用点が異なる(異なる発達段階で高CO_2環境を感知し応答する)ことが明らかにされた。炭水化物シグナルの同定には至らなかったが、作用点を特定できたことにより、高CO_2応答それぞれの分子メカニズムの解析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
高CO_2環境による光合成のダウンレギュレーションと葉の形態変化それぞれの分子メカニズムを明らかにする。また、高CO_2応答それぞれについて、応答を引き起こすシグナルを特定する。
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