公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
現在までのトランスクリプトーム研究により、膨大な数のmiRNAが同定されており、各miRNAの発現量や機能は個々の臓器や細胞ごとに多面的に調節されていると考えられる。しかしながら、miRNAの生合成やその機能発現に雌雄差が存在しているか否か不明であり、性差という観点からの小分子RNA研究は極めて稀である。そこで哺乳類の性差形成における非コードRNA作用マシナリーの役割と重要性を理解するため、Y染色体遺伝子DBYに着目した解析を行い、以下の知見を得た。1、胎生期の野生型マウスの雌雄間で雄性特異的に発現量の高いmiRNAが約140種存在していたことから、miRNA発現量には性差が存在することが明らかとなった。2、プライマリーmiRNAプロセシングの過程で、DroshaはDGCR8と共にタンパク複合体を形成することで、マイクロプロセッサーとして機能するが、DBYはDrosha複合体構成因子群と相互作用することを見出した。さらにDBYのノックダウンにより発現量が低下するmiRNAを110種を同定した。これらmiRNA群のプライマリーmiRNAからプレmiRNAへのプロセシングが実際にDBYにより促進することがin vitroプロセッシングアッセイにより実証された。3、Y染色体遺伝子DBYのノックアウトマウス作出のため、挿入型ベクターを設計し、ネオマイシンおよびピューロマイシンを用いた2段階セレクションにより相同組み換えES細胞の取得に成功した。
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