公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、哺乳類胚の初期発生機構の解明を目指して、マイクロ流体技術を応用した哺乳類胚アッセイシステムの構築を目標とした。平成23年度は、昨年度中に開発したシステムのコアとなるマイクロ流体デバイスの機能評価を中心に各検討項目を実施した。マウスiPS細胞の胚様体を胚に見立て、これらを培養しながら微小環境制御を検討すると同時に、タイムラプス画像から得られる分化の挙動を観察し、胚様体の液性因子に対する応答とその過程の総合的評価を試みた。まず、デバイス内部の状態を観察するために、デバイスをタイムラプス装置に組み込んだシステムを構築することによって、培養下の胚様体の経時的な観察を可能とした。評価条件として、特定の液性因子やその濃度分布を空間的に制御し、微小構造体に固定化した対象の詳細な挙動を観察した。具体的には、制御する液性因子としてiPS細胞の分化に関与することで知られている白血病阻止因子(LIF)やレチノイン酸(RA)、神経誘導因子(Noggin)などを採用し、層流操作で形成した成長因子の濃度勾配に補足した胚様体を曝露し、その挙動を評価した。本研究では、分化・未分化が蛍光で可視化できるiPS細胞を用いて細胞分化状態を評価すると共に、免疫染色による分化後の細胞状態評価も実施した。この評価において胚様体の液性因子制御による分化制御が実現可能であることが示唆された。この結果から、本デバイスを用いることによって平面培養された細胞群にだけでなく、胚のような三次元構造体である胚様体についても微小空間内の液性因子濃度制御が可能であることが実証された。これらの検討を通じて、本研究で開発したマイクロ流体デバイスは、新たな胚アッセイツールとして発生学における分化・発生メカニズムの解明に寄与するものであるとの結論を得るに至った。
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http://www.microfluidics.iis.u-tokyo.ac.jp/