公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、新規蛍光遺伝子プロモータートラップ(Venus trap)スクリーニングを中心とし、新たなマウスリソースの網羅的開発として、ライブイメージングと遺伝子発現解析を同時に可能にする遺伝子変異マウス系統の樹立をおこなっている。具体的には、蛍光レポーター遺伝子(Venus)を含むレンチウィルストラップベクターを初期胚に感染させ、ゲノム上のランダムな場所に組み込まれた蛍光レポーター遺伝子が、内在性のプロモータ制御によって発現されるマウス系統を樹立している。これまでに107のファウンダーマウスを樹立し、計63ゲノムインテグレーションを確認した。このうち22の樹立系統では、マウス初期胚の各細胞系譜におけるレポーター発現がみとめられた。その中に、「内部細胞塊」、「栄養外胚葉」、「栄養外胚葉および原始内胚葉」において特異的な発現を示す系統を、それぞれ2、4、2系統ずつ見出し、トラップされたほぼすべての内在性遺伝子の同定に成功した。現在、4Dライブイメージングシステムにより、それら系統が示す初期胚のパターン形成における動的変化を定量化し、トラップ遺伝子の時間・空間特異的な発現パターンの詳細な解析を実施している。このような解析から、マウス初期発生における細胞系譜発祥のしくみや、そこに関わる分子の偶発的発現様式のプロセスが明らかとなりつつある。また、インテグレーションの位置により、トラップ遺伝子の発現が阻害され、ノックアウトマウスとして樹立された系統もある。このような系統はトラップ遺伝子の機能解析のための重要なツールとして活用される。樹立したマウス系統は理研BRC(つくば)に委託を開始した。
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