研究領域 | 哺乳類初期発生の細胞コミュニティー |
研究課題/領域番号 |
22116506
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
二木 杉子 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (00403014)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2011年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2010年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 基底膜 / ラミニン / ライブイメージング / インテグリン / ジストログリカン / 胚葉体 / フィブロネクチン |
研究概要 |
マウス初期胚の基底膜構成因子の解明に関しては、定量RT-PCRと免疫組織染色によって新たな基底膜蛋白質の発現レベルと局在パターンを解析し、Fibulin-1、XVIII型コラーゲン、フィプロネクチンが初期胚基底膜に存在することを明らかにした。さらに、原腸陥入部位の周辺では基底膜蛋白質が外胚葉側に局在するのに対し、フィプロネクチンが内胚葉側に局在することを見出した。さらに、細胞外マトリックス蛋白質の受容体であるジストログリカン、インテグリンの初期胚における局在を検討した。ジストログリカンとインテグリンα3は広範な細胞に発現していたのに対し、インテグリンα6は主に外胚葉の基底層、α5は主に内胚葉の基底層に限局して発現していることが示された。以上の結果から1)初期胚基底膜の足場となる細胞外マトリックスの分子基盤を明らかにし、2)外胚葉と内胚葉で細胞外マトリックス組成が異なり、3)それぞれに対応した受容体が特異的に発現していることが明らかとなった。 基底膜ライプイメージング技術の開発に関しては、蛍光蛋白質EGFPを基底膜蛋白質Nidogen1に融合させた蛋白質発現系を構築し、マウスES細胞由来の胚葉体を用いて基底膜可視化のプローブとして有用であることを示した。胚葉体の培地中に添加した組換えEGFP-Nidogen1蛋白質は胚葉体内部の基底膜に組み込まれ、生組織中での基底膜を蛍光観察することができた。この技術を利用することにより、形態形成や細胞分化過程における基底膜の挙動をライブで詳細に解析できると期待される。 ラミニンα1、α5欠損マウス胚における分化誘導シグナルの応答に関しては、それぞれの遺伝子欠損ES細胞を作製した。これらの細胞は、発生初期の基底膜におけるラミニンアイソフォームの機能をin vitroで解析するモデル系として活用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基底膜構成因子の解明については、当初計画していた40種類あまりの基底膜蛋白質の発現・局在の解析をほぼ達成し、さらに細胞外マトリックス受容体の発現と合わせて解析することで、内胚葉、外胚葉それぞれに特異的な細胞-細胞外マトリックス相互作用が働いている可能性を見出した。基底膜ライブイメージングについても、生体中の基底膜を蛍光標識するプローブの開発を達成した。一方ノックアウトマウスを用いた解析ではマウス個体数を確保する段階で遅れが生じたものの、ノックアウトES細胞を作製することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初期胚基底膜構成因子の発現と分布については論文として発表する。また、原腸陷入期胚において外胚葉と内胚葉では細胞-細胞外マトリックス相互作用が異なることが示唆されたことから、その意義を明らかにするため、外胚葉・内胚葉細胞における細胞外マトリックスへの応答を、細胞内シグナルや細胞の接着・運動などの観点から解析をすすめる。さらに、本年度の研究で得られたラミニン欠損ES細胞を用いて、初期細胞分化における基底膜とラミニンな磯フォームの役割についての解析を行う。
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