公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
申請段階で3つの達成目標を立てた。これらについて今年度の研究成果を記述する。(1)ATP/プリン受容体に関する検討:心房細動では、リスク因子と心房細動の間に慢性炎症が関与することが示唆されている。リスク因子の中で最も頻度の多い心房筋伸展と慢性炎症の関連について検討した。In vitroおよびin vivo実験で、心房筋の伸展によりマクロファージの遊走が誘導され、心房の線維化、心房細動の誘発性が上昇した。マクロファージの遊走にはATPが関与すること、ATPは心房筋の伸展によりギャップ結合チャネルを介して放出されることが明らかとなった。In vivoで心房伸展により誘導されるマクロファージの浸潤、心房線維化、心房細動の誘発は、ギャップ結合チャネルの投与により抑制された。(2)FFA・LPS/TLR4に関する検討:FFA・LPS投与によりマクロファージの心房への浸潤、心房の線維化が誘導されることが確認された。そこで、野生型マウス(WT)とTLR4 KOマウスで、FFA・LPS投与によるこれらの変化を検討したところ、両者で差がなかった。この検討がネガティブデータであったことから、心房伸展によるマクロファージ浸潤・心房線維化に対する作用も検討したが、やはりWTマウスとTLR4 KOマウス間で有意差を認めなかった。心房における炎症では、TLR4は大きな役割を果たしていないことが示唆された。(3)ROS/TRPチャネルに関する検討:LPS刺激によりマクロファージにおけるサイトカインの産生・分泌が増加することが確認された。この作用は、細胞内Ca^<2+>濃度上昇を伴っており、TRPチャネルブロッカー、TRPチャネルのsiRNAによるノックダウンで抑制されることから、LPSによるTRPチャネルの活性化、これに伴う細胞内Ca^<2+>上昇がサイトカイン産生に関わることが明らかとなった。
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