研究領域 | 現代社会の階層化の機構理解と格差の制御:社会科学と健康科学の融合 |
研究課題/領域番号 |
22119503
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮崎 清 千葉大学, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (90009267)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2011年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2010年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 資源循環型 / サスティナブル / 伝統文化 / 環境技術 / 環境材料 / 環境対応 / 環境調和型 / 農林水産 |
研究概要 |
本研究は、これまで策定・実践されてきた多様な地域振興デザイン計画のなかでも、とくに、地域の生活者が担い手となり、精神的な豊かさの追求を目指した内発的地域振興の視座からなされてきた地域振興デザイン計画の実態を取り上げ、その理念の構築と実践に関する諸相を、実地調査を通して明確化するとともに、その知見を生かしたこれからの内発的地域振興デザインのあり方を考究・提示していくことを目的としたものである。平成23年度においては、主として福島県大沼郡三島町において、当該地域の伝統的生活文化に基づく地域振興活動として展開されてきた「生活工芸運動」を中心に取り上げ、これまでの同運動の歴史を把握するとともに、同運動に参与する生活者ならびに同運動を支える行政担当者らへの聞き取り調査を実施し、その理念構築と実践に関する諸相を明確化した。その結果、概ね以下の諸点が明らかとなった。○多様な地域資源の利活用に基づく生活者主体の地域活動を通して、これに参加する者が、地域の生活文化の担い手としての意識を高めるとともに、「人びとと交流」し「自然と触れ合う」とともに、自らの「健康」や「自己存在の確認」などを獲得・確認している。○伝統的な生活文化の利活用に基づく地域振興活動は、高齢者のみならず、地域の若手あるいは地域外から転入した者が、多様な地域資源を共有することにつながり、生活者らが地域固有の共通の生活文化の担い手として参与できる道を拓いている。○伝統的生活文化の再認識・再確認ならびにその利活用に基づく地域振興は、今日切望されている地域環境との共生、地域アイデンティティの醸成を図るうえできわめて有効な手段の一つである。○総じて、内発的地域振興は、地域社会の人びとの連帯意識を強め、かつ、地域の生活文化を維持・継承する貴重な機会をさまざまに創出する可能性を有している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、平成22~23年度の両年度において、膨大な文献資料を収集・精査するとともに、内発的発展を展開してきた地域社会において、多様な立場からこの活動に参与する者への調査を実施することを通して、その理念構築と実践に関する諸相を明確化することができた。総じて、今日、とくに日本を含むアジア諸国の国・地域で求められているこれからの内発的地域振興デザインのあり方を考究・提示することができたといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
世界各国で近代化・工業化が進展する今日、とくにアジア各国においては、長い時をかけて構築されてきた伝統的な生活文化の消失が大きな問題となっている。こうした状況のなか、地域の資源を活用し、地域の生活者が主体となる内発的地域振興は重要な位置づけにあるといる。こうした社会を実現するためのデザイン計画の理念構築と実践は、まさに喫緊の課題である。本申請研究は今年度で終了となるが、デザイン学の領域において、同種の研究は、今後にあっても継続・深化させることが必要であり、本研究を通じて深められた各地域との結びつきを活用し、さらならう詳細な実地調査に基づき内発的地域振興デザインの展開を図っていきたい。
|