研究概要 |
研究目的 本研究の平成23年度の目的は,ソーシャル・キャピタルや心理社会面に着目した地域介入「憩いのサロン」(以下,サロン)参加によるその長期効果を検証することなどであった. 研究方法・結果 (1)サロンボランティア73人,一般参加者99人の分析から,サロン参加によって健康関連の情報的サポートの授受ともに増えた者は,ボランティアで61.7%,一般参加者で57.6%であった.既に報告済みのサロン参加による個人レベルのソーシャル・キャピタルの高まりを踏まえると,ソーシャル・キャピタルが健康に良い経路の仮説の1つである健康関連情報の入手が容易になるという仮説を支持する結果が得られた. (2)サロンボランティア100人,一般参加者171人の分析ではサロン参加前後で,外出が増加は全体で32.8%,増えた外出先はボランティアと一般参加者ともに友人宅・自宅周辺,ボランティアでは公共施設,一般参加者では喫茶店や商店で参加形態による違いがあった. (3)サロン参加者159人と非参加者1395人を対象で,操作変数に自宅からサロンまでの距離を用いサロン参加を予測し,それによってもたらされる主観的健康感の高まりを分析した結果,自宅からサロンが近い人ほど参加率が有意に高く主観的健康感が2.47倍高まることが確認された. 結論 サロンへの参加によってもたらされる効果として,健康関連の情報的サポート授受の高まりや外出の増加,主観的健康観が高まることが示唆された.
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