配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2011年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2010年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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研究概要 |
最近,前頭前野最前部から運動前野にかけての脳領域が,複数課題の並列処理に階層的に関与していることが示唆されている。我々はその詳細を単一細胞レベルで明らかにすべく,ニホンザル2頭に両手順序動作課題と割込課題からなる二重課題を訓練し,前頭前野(PFC),加えて背側運動前野(PMd)の細胞活動を記録・解析した。課題はブロック単位で進行し,ブロック最初の2試行[主課題(視覚誘導)]では,4種の動作(右/左腕の回内/回外)のうちいずれか1つを視覚指示信号(cue)で逐一指示し,1試行あたり2つの動作を行わせた。次の2試行[主課題(割込前)]では,直前に行った2つの動作を記憶に基づき正しい順序で行わせた。次の試行[割込課題]では,主課題と独立して視覚刺激を与え,それに従って動作を行わせた。その後の1試行[主課題(割込後)]では,割込み前の主課題で行っていた2つの動作を記憶に基づいて再現することを求めた。このような一連の試行からなるブロックを,主課題・割込み課題で行う動作の組み合わせを違えながら繰り返した。 実験の結果,PFCでは課題の種類(主課題か割込課題か)に選択的な活動を示し,実際行う動作に関係しない細胞の割合が多数見出された。また,PMdでは,主課題の1番目の動作を行うのに用いる手(右か左)と,割込課題で用いる手の一致・不一致を反映した細胞が多く観察され,PMdでは主課題の1番目の動作の種類(回内か回外)と,割込課題で行う動作の種類の一致・不一致を反映した細胞が多数存在した。これらの知見は,(1)複数課題を並列処理するにあたり,前頭前野が主課題から割込課題への分岐を司ること,(2)脳領域によって主課題と割込課題の関係性が異なった側面で(本研究の場合,用いる腕・動作の種類)で表現され,主課題と割込課題の組み合わせが多数存在したときであっても,両方の課題を間違いなく遂行するのに役立っていることを示唆する。
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