研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
22120519
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
吉田 正俊 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (30370133)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2011年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2010年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 背側視覚経路 / 空間的注意 / 視覚意識 / 急速眼球運動 / 半側空間無視 / 身体認知 |
研究概要 |
半側空間無視とは脳損傷と反対側の空間の感覚刺激(視覚、聴覚、体性感覚)に対する反応が欠如・低下する現象のことを指す。これは感覚障害(同名半盲など)や運動障害(片麻痺など)によっては説明できない認知的障害である。本研究は半側空間無視の動物モデルを確立することを最大の目標とする。マカクザルの頭頂連合野と前頭連合野とを繋ぐ神経線維である上縦束(SLF)を切断することで無視症状を引き起こすことを目指した。この術式の確立のために上縦束を切断の手術を行った。手術終了後に行動観察を行った。動物モデルは術後1日後には回復した。顕著な運動麻痺などは起こっていないことから、手術は運動機能そのものへの直接的な影響はないことが推測される。また、刺激が一つである場合にはそれを目で追い、顔を向けることができることを確認した。このことは視野欠損及び眼球運動系の障害がないことを示している。ところが刺激を左右同時に提示したときには損傷と同側の刺激を常に選ぶ。つまり、無視症状に伴う「消去」の現象が見られることを確認した。また、目立たないように損傷側に刺激を提示した場合にはそれを無視した。つまり、空間無視の症状が見られた。また、損傷対側の身体に触れられても反応しない、といった身体無視の症状も見られた。以上のことから、半側空間無視の動物モデルを確立することに成功したと考えられる。また、行動評価法のひとつとして、ビデオクリップを観察中の実験動物の眼球運動を計測して、視覚的顕著性(saliency)の計算論的モデルを応用することによって、無視症状の行動評価を行うための実験系を確立した。これまでに第一次視覚野を損傷させたマカクザル盲視モデルでこの方法を応用して有用性を確認した。
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