研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
22120521
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 北海道大学 (2011) 独立行政法人理化学研究所 (2010) |
研究代表者 |
西川 淳 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 特任講師 (20392061)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2011年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2010年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | カントールコーディング / 多点同時記録 / 局所回路 / 時系列処理 / 神経情報表現 / ジュウシマツ / コミュニケーション / 状態遷移 / 隠れマルコフモデル |
研究概要 |
複雑な時系列信号によるコミュニケーションを司る神経メカニズムを解明するため、複雑な囀りを生成・学習できるジュウシマツのHVCという神経核に注目した研究を行った。まず、微小領域に記録点を多数集めることのできる32-ch高密度シリコン電極を用いて、当該神経核内から多数のニューロン活動をなるべく多く、かつ安定的に同時記録する方法を確立した。次に、ジュウシマツにおいて実際に生物学的に意味のある形で使われているさえずりの音要素からランダム系列入力を作成し、その聴覚刺激に対するネットワークレベルの神経応答を計測し、カントールコーディングの観点から詳細に解析を行った。それぞれの音要素系列ごとに各ニューロンの平均発火率の時間変化を調べたところ、ニューロン活動には少なくとも3つ前までの状態依存性が見出され、カントールコーディングの必要条件の一つが満たされていた。しかしながら、多数のニューロン活動のデータに主成分分析を施し、それぞれの系列への神経応答のパターンがどの程度オーバーラップするかを調べたところ、クラスター間の分離が悪いことが分かった。その原因の一つは、同時記録されたニューロン活動がかなり同期しているために、多数のニューロン活動のデータを全て用いてもクラスターの分離が良くならないからであることが判明した。以上の結果から、ジュウシマツにおける時系列情報表現はHVCに限局するのではなく、他の脳領域と一体となって表現されていることが示唆された。例えば、RA, Area X, LMANといった他の脳領域からも同時に神経活動を記録することで、クラスターの分離が良くなると期待される。もしそういった結果が得られるのであれば、時系列信号の情報はジュウシマツにおいていくつかの脳領域に分散的に表現されているということが明らかとなるだろう。
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