研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04459
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 分子性有機導体 / 量子スピン液体 / ダイマーダイポール / 量子パイ電子液晶 / 量子電荷液体 |
研究開始時の研究の概要 |
分子ダイマー構造を有する強相関電子系分子性有機物質は,特徴的な格子自由度と強相関パイ電子系の電荷・スピン自由度が複合することで超伝導から量子スピン液体状態まで多彩な電子基底状態を生み出している. 本研究では,遠赤外-赤外分光測定,非弾性中性子散乱実験などの広帯域な低エネルギー分光実験手法により,分子ダイマーをミクロな構成単位とした分子性有機物質系での量子液晶状態発現を検証し,特にダイマー内電荷自由度を起源とする量子スピン液体の機構解明に取り組む.
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研究実績の概要 |
本研究では,分子性有機物質である量子スピン液体κ-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3 とその周辺物質を対象として,スピン非秩序状態における電荷(ダイマーダイポール)揺らぎ-分子格子フォノン結合によるクラスター化・液晶化形成を低エネルギー分光手法により実験的に明らかにすることを目的としている.2023年度は,同物質の中性子非弾性散乱による電荷,スピン状態と分子格子との結合による低エネルギー分子格子ダイナミクスの測定とその解析,物理モデルとの比較に成果があった.中性子散乱実験はフランス,グルノーブルのラウエ-ランジュバン研究所において2021-22年度にリモート実験によって国際共同研究として実施し,その結果の解析と理論モデルの構築,他の物性報告との対比によって進めた.その結果,この物質で観測される6K異常と呼ばれる種々の物理量に異常が観測される温度よりも高温側では,異常なフォノンダンピングが観測され,その現象説明として,分子ダイマー上に発現する電荷ダイポールによる電荷揺らぎが格子と結合した結果であると結論付けた.一方で6K以下では,フォノン構造が明瞭になり,電荷揺らぎが凍結しフォノンとの結合が弱くなっていることを示唆する解析結果を得た.この観測は6K異常が非磁性低温秩序(VBS)相への相転移であるとする報告とも整合する.これらの結果をもとに,エックス線照射によるランダムネスを導入した試料を準備し,2023年度末に再びラウエ-ランジュバン研究所において中性子非弾性散乱実験を行い,6K異常に対するランダムネスの影響についての研究を進めた.その結果,6K異常はランダムネスにより抑制される一方で,3K以下でリラクサー的なフォノンの緩和現象が観測された.これらの結果から分子ダイマーダイポールが誘起する量子的クラスター,液晶状態の統一的な理解に向けた基礎となる成果を得ることができた.
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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