研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04464
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩見 雄毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633969)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 鉄系超伝導 / スピン流 / ネマティック秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
スピン流のスピン偏極の向きは周波数の低い磁気ゆらぎにより乱される性質をもつ。本研究では、鉄カルコゲナイド超伝導体で発現する電子ネマティック秩序に対して、スピン流を磁気プローブとして低エネルギーの磁気ゆらぎを実験的に明らかにする。スピン流という新たな磁気プローブを用いることで、これまで行われてきたNMRや非弾性中性子散乱による磁気ゆらぎの測定結果を補完して、電子ネマティック秩序の起源に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では申請者が得意とするスピン流計測技術を用いて、鉄カルコゲナイド超伝導体の常伝導状態の特徴である電子ネマティック相の起源について磁性の観点から迫ることを目的とする。接合した強磁性体からのスピン流注入の効率が構成物質の磁気ゆらぎを反映することを利用し、ネマティック転移における鉄カルコゲナイド薄膜の磁気ゆらぎの温度変化を計測し、磁気ゆらぎのプローブとして広く用いられてきたNMRや中性子散乱の結果を補完する。スピン流という新しい磁気プローブを用いることで、電子ネマティシティの起源として論争が続けられてきた電荷/軌道ゆらぎとスピンゆらぎの2つのシナリオに対して新たな知見を得ることを目指す。さらに、そもそも鉄系超伝導体におけるスピン流特性はほとんど調べられた例がなく、トポロジカル物性と絡んだ新奇スピン流物性など幅広い観点から研究の発展を目指す。 今年度は鉄カルコゲナイド超伝導体Fe(Se,S)およびFe(Se,Te)薄膜に強磁性薄膜を接合した試料において、スピン流計測技術を駆使してネマティシティが絡んだ新奇輸送現象の観測を目指した。良質なFe(Se,S)およびFe(Se,Te)超伝導体薄膜は、研究協力者である前田京剛研究室(東大総合文化)が作製し、研究代表者である塩見雄毅の研究室で計測実験を行った。研究の過程で、鉄カルコゲナイド超伝導体単体では見られないような、強磁性体を接合したことに由来する新奇現象が見られ始めた。共同研究者が同じ学科に所属しているという強みを生かして密に連携をとりながら、研究を進めていく。また、今年度の予備研究結果を踏まえて、新しい共同研究も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鉄系超伝導体はネマティック秩序以外にもトポロジカル物性など含めて多彩な興味深い物性が見られることが知られているが、そのスピン流特性はほとんど調べられた例がない。今回の挑戦的な試みにおいて既に興味深い物性が見られ始めており、今後の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた予備研究の成果を踏まえて、引き続き研究を進めていく。試料を作製してもらっている共同研究者と同じ学科に所属し、学生を含めて密に議論ができる状況にあることが功を奏し、色んな共同研究のアイデアが出てきている。研究代表者の塩見がマネジメントしながら効果的に研究を進める。
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