研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04476
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大同 暁人 京都大学, 理学研究科, 助教 (80884626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超伝導 / 超伝導電流 / 有限重心運動量超伝導 / 非相反応答 / 空間反転対称性の破れた超伝導体 / 超伝導ダイオード効果 / 空間反転対称性の破れた超伝導 / FFLO超伝導 / ヘリカル超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
電流駆動効果や電流応答の重要性が近年一層の高まりを見せている.本研究計画では,研究代表者がこれまで取り組んできた超伝導ダイオード効果の理論を高度化・確立する.それを足掛かりとして有限重心運動量Cooper対の電流駆動や物理量の超伝導電流依存性の解明に取り組み,超伝導体の電流駆動物性という新分野を開拓する.電流を用いた超伝導体の新しいプローブ法を開発し,実験と協調して超伝導研究の新境地を切り開く.
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研究実績の概要 |
本研究は超伝導電流を用いた広義電子対液晶の探索を目的としている.初年度である本年度は,空間反転対称性の破れた超伝導体における非相反現象の解明に取り組んだ. 特に,空間反転対称性の破れた超伝導体が磁場下で示す有限重心運動量超伝導に注目した研究を行った.臨界電流が非相反(順方向と逆方向で異なる)になる超伝導ダイオード効果について,既に発表した理論の一般化を行うとともに,超伝導電流下の有限重心運動量超伝導体の磁場温度相図について調べた.超伝導電流下の磁場温度相図における転移線について,順方向・逆方向電流下の転移線の交差がダイオード効果の符号反転に相当することや,リエントラント超伝導など特異な振る舞いが生じることを指摘した.また,共同研究により超伝導ダイオード効果に対する不純物の影響を調べた.不純物がない場合には超伝導ダイオード効果の符号反転が生じ,これが有限重心運動量超伝導の強い証拠になることが既にわかっていたが,不純物が弱い場合にはこれが残ることを確かめた.さらに,超伝導転移近傍における超伝導揺らぎによる電気伝導度の増大について,有限重心運動量超伝導の特徴的な磁場スケールで異常な増大が生じることを明らかにした.軌道磁場の影響についても考察し,クーパー対のサイクロトロン運動がある場合でもこの振る舞いが観測可能であることを議論した.これらの結果は広義電子対液晶の一種である有限重心運動量超伝導の理解を深めるともに実験的な検出にもつながる成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り超伝導ダイオード効果の理論の一般論を構築した.加えて,有限重心運動量超伝導の実験的プローブについて,超伝導ダイオード効果とは別の有力な候補を見つけることができた.
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今後の研究の推進方策 |
超伝導ダイオード効果のミクロ理論に引き続き取り組むとともに,内因的超伝導ダイオード効果以外の機構の発見にも取り組む.非相反電荷輸送一般の研究にも繋げる.
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