研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04479
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中島 正道 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (20724347)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 電子ネマティック状態 / ネマティックドメイン / 反射率測定 / 鉄系超伝導体 / ネマティック感受率 / 電子ネマティック |
研究開始時の研究の概要 |
固体中の電子が結晶格子にはない方向性を獲得し、自発的に回転対称性を破った状態は「電子ネマティック状態」と呼ばれており、現在の物性物理学におけるホットトピックの一つとなっている。本研究では、電子ネマティック状態に伴って現れると考えられるドメイン構造を、精密反射率測定により観測し、歪みや電流などの外場によって制御することを目指す。また、歪みに対する反射率の変化を調べ、電子ネマティック状態の揺らぎについても知見を得る。
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研究実績の概要 |
電子系の回転対称性が自発的に破れている電子ネマティック状態の研究において、電子系の異方性に起因するドメイン構造を制御することは重要な課題である。そのためにも、ネマティックドメインの観測は不可欠である。本研究課題は、ネマティックドメインを可視化し、そのダイナミクスを観測することを目的としている。 本研究では、回転対称性の破れの検出に有効だと考えられる直線偏光した光を用いた反射率測定を行い、電子ネマティック状態におけるドメイン構造の観測を目指した。ドメイン構造を可視化するためには、直交した二方向に直線偏光した光を用いて反射率の異方性を測定し、その位置依存性を調べることが必要である。2023年度は、試料から検出器までの光学系を組み上げ、光学測定システムを完成させた。検出器にはCMOSカメラを使用しており、1マイクロメートル程度の空間分解能で反射率の二次元イメージングが可能となった。 構築した光学測定システムを用いて、鉄系超伝導体の母物質BaFe2As2の単結晶試料に対して測定を行い、ネマティックドメインを可視化することに成功した。この物質では、電子系の回転対称性が破れる際に結晶格子を巻き込み、正方晶から直方晶への構造相転移が起こる。本研究により、低温の直方晶相ではドメイン構造が縞模様として現れること、縞の走る方向は試料中の場所によって決まっており、温度の上げ下げでドメイン構造の出現・消滅を繰り返しても同じ方向の縞模様が現れることが分かった。また、縞の方向が変わる境界領域では縞模様の間隔が乱れるが、そこから離れた場所では約4マイクロメートルの周期できれいな縞模様が観測されており、BaFe2As2の本質的なドメイン構造を見ていると考えられる。本研究で明らかになったドメイン構造は、電子ネマティック状態の理解と制御につながる重要な知見である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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