研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04506
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 (2023) 東京工業大学 (2022) |
研究代表者 |
清水 亮太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70611953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | エピタキシャル薄膜 / 複合アニオン化合物 / 薄膜物性 / 窒素水素化物 / 電子化物 / 光・電子物性 / 固体イオニクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、安定な2価イオンをとる希土類(RE: Eu2+,Yb2+)を利用した窒素水素化合物(RE2NH,RENH)を創製し、光照射による水素の荷電状態変化を利用した光学・磁気・エレクトロニクス材料を開拓することを目的とする。2 価希土類(RE)イオンのEu2+とYb2+の窒素水素化合物(RE2NH, RENH)を創製し、光・電気・磁気が交差相関した新奇光応答材料を開拓する。この発現機構を、特にNが関与する機序について透過電子顕微鏡・放射光測定から微視的に解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、2価金属イオンの窒化物・窒素水素化物に着目し、新たな材料創製を目指している。これまでにCa2NH(ヒドリド体)/CaNH(プロトン体)の選択合成に成功しており、アルカリ土類金属や2価の希土類を利用した新物性を探索している。 2023年度は、Ca2NH(ヒドリド体)/CaNH(プロトン体)の選択合成の条件最適化の際に新たに見出したCa2N:e-電子化物の作製に取り組んだ。Ca金属ターゲットを出発点とし、微量の窒素を混合しながら反応性スパッタ法による成膜を行うと、~10-5 Ohm cmの抵抗率を示す伝導性に優れた薄膜を得た。X線回折およびラマン分光の結果から、この相はCa2N:e-電子化物であることを確認している。 Ca2N:e-は大気不安定のため、物性測定には領域内共同研究による大気非曝露環境下におけるHall効果測定を実施した。4 Kでの移動度が15 cm2/Vsと単結晶の~1000 cm2/Vsには及んでいないことから、薄膜の結晶性向上が次年度の課題となった。 同様の手法にて、2価が安定である希土類元素としてEuとYbに着目し、窒化物・窒素水素化物・電子化物の合成に取り組む。希土類におけるスピンの自由度の関係した新物性の探索に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である窒素水素化物のほかに、Ca2N電子化物の薄膜成長に成功した。このCa2Nは大気環境で速やかに分解してしまうことから、キャラクタライゼーションに難航している。しかしながら、これまで薄膜電池の研究の経験を活かし、この問題の解決は可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、このCa2Nの薄膜の品質向上と電子・光学特性に解析、希土類元素(Eu2+、Yb2+)に着目した新奇物質の合成に取り組む。 現状では酸化物単結晶基板を用いているが、界面における酸化物イオンとのミキシングによる薄膜の品質低下が予想されている。そこで、SiC単結晶基板などを用いた界面からの高品質な薄膜成長を目指す。また、窒化物を候補とした保護膜の検討を行い、Hall効果測定を通じた輸送特性を評価し、イントリンシックな電気・光学特性の評価を行う予定である。
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