研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
22H04530
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
林 智広 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30401574)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | タンパク質 / 機械学習 / ペプチド / バイオマテリアル / 情報科学 / 統計解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目標は、情報科学を利用したタンパク質分子表面の化学構造の模倣に基づく、新しい材料設計手法の開発である。具体的には、1500種類以上の立体構造が明らかな、人体を構成するタンパク質分子の「表面領域」における官能基の面内分布を網羅的に統計解析し、機械学習により構造パターン情報を抽出する。さらにタンパク質分子の機能との相関を解析し、タンパク質分子が非特異的相互作用を抑制しつつ、酵素反応、分子認識などの機能を平行して発揮するメカニズムを明らかにし、抽出した機能発現のための構造条件を基に、有機材料を中心とした新規材料を設計する手法を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究は、タンパク質分子の「表面領域」に焦点を当て、その官能基の空間分布パターンとタンパク質の機能との相関解析に基づく新しい機能性材料の設計手法の確立を目指した。タンパク質の機能性は、分子認識サイトや酵素反応中心における官能基の配置、立体構造を決定する親水性・疎水性残基の分布により主に議論されてきた。しかし、人工材料でこれらの機能を再現する試みはまだ十分ではない。 本研究は、進化の過程で最適化されてきたタンパク質の「分子表面」に注目し、未発見の構造パターンを情報科学的手法で抽出、新たな材料を作製し、その機能を検証する。これにより、構造生物学と材料科学の融合という新しい学問分野を創出する研究基盤を築くことを目指した。 研究方法としては、Protein Data Bank (PDB)に蓄積されたタンパク質の高精細構造データを利用し、単位面積あたりの残基密度や表面内近接残基の組み合わせ、極性基・電荷、親・疎水性分布を解析する。この解析結果をヒト由来タンパク質分子を機能ごとに分類し、機械学習を用いて機能ごとの共通構造パターンを抽出する。次に、抽出した構造パターンを基にペプチド分子を合成し、その機能を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は上記の研究計画で、2報の学術論文の投稿に至ったことから計画以上に進展していると結論した。
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今後の研究の推進方策 |
高温、低温、乾燥環境などの極限環境で生息する生物のタンパク質の構造の解析により、さらに分子表面構造-機能の相関のデータが議論可能となる。これにより、生物学分野では、タンパク質の進化のメカニズム、未知の分子機能の発見、材料科学分野では、新しい材料設計指針の獲得を目指す。
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