研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
22H04535
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河野 慎一郎 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10508584)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 大環状化合物 / ナノ空間 / 水 / 超分子 / 分離膜 / 超分子化学 / 分子認識 / 物質輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
サイズや形状が均一な分子レベルのナノ空間(0.5 nm ~ 2.5 nm)をもつ大環状化合物および超分子組織の自己組織化によって形成する多孔性物質や超分子ナノチューブ、およびそれらの自己組織化による分離膜を構築する。サイズと形状が均一な大環状化合物からなるカラムナー液晶や分子チューブ構造の内側に構築したナノチャネル構造を利用して,環境汚染の原因となる有機塩素化系分子の特異的吸着や,水の浄化を目的とした特異的物質輸送するイオン分離膜の評価を行うことを目的とする。これらの大環状化合物からなる自己組織構造中のナノ空間を利用することで、特異的な吸着挙動および物質輸送能を詳細に検討する。
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研究実績の概要 |
以下に、本研究計画において得られた研究成果を示す。 1.前年度までの研究(Chem. Commun. 2022, 58, 3274, Selected as an inside front cover)を踏まえて、液晶性金属錯体型フォルダマーを用いたナノ空間に水が取り込まれるかについて評価した。本研究では、高輝度光科学研究センターの池本博士と連携し、集光性が高く、高輝度をもつシンクロトロン放射光を線源とした赤外分光測定(SPring-8, BL43IR)により、高湿度条件下における液晶性金属錯体型フォルダマーの分子組織に取り込まれた水の赤外吸収等を用いた解析を行った。 2.サイズと化学的な空間が均一な大環状化合物の開発は、水を取り込むナノ空間の開発において重要である。ジフェニルアントラセン骨格の両端にbeta-ジケトン基をもつ配位子を合成した。この配位子を等モルのCo(III)イオンと混合することで、配位結合による自己組織化を利用した環形成反応により、大環状Co(III)三核錯体を得た。本研究では、この大環状金属錯体の単結晶試料について、放射光による単結晶構造解析を行った。その結果、環の内部直径は約1.5 nmであり、Co(III)イオンをもつ人工レセプター分子の中では極めて大きな空孔サイズ(約316 A3)の内部空間をもち、テトラフェニルボレートアニオン等の大きなサイズのイオンが包接されることが明らかとなった(Eur. J. Inorg. Chem., 2023, 26, e202200592, Selected as Front Cover)。 3.また、液晶性大環状化合物のナノ空間の解析や、一次元に配列する大環状金属錯体が構築するナノチャネル空間の機能開拓を検討した。環状分子の自己組織化によって構築される空間に有機分子が取り込まれることが明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下に、本研究計画において、本年度の実験で得られた研究成果を示す。 1. フォルダマーは、折り畳まれたらせん状の分子構造をもち、バネのような伸縮運動や、多重らせん形成、らせん状の内部空間における不斉認識などの興味深い特性を示す超分子である。これまでの研究で、らせん構造を形成するホモキラルな金属錯体型液晶性分子集合体が、サーモトロピックなカラムナー液晶相を形成することを見出した。モデル計算から、その集積した空間の内側に水分子が取り込まれる程の微小な空間が構築されていることが示唆された。そこで、高輝度光科学研究センターの池本博士との共同研究により、高湿度下における放射光 (SPring-8, BL43IR) を用いた顕微偏光IR測定を行い、液晶組織に取り込まれた水の挙動を評価した。その結果、相対湿度が85%以上の高湿度条件下において、特異的に吸着された水の特性吸収が現れることを確認した。また、共同研究者の原光生助教(A01公募班)との連携により、湿度依存のXRD測定を行ったところ、高湿度条件下において、周期が大きくなることを見出し、液晶組織が可逆的に構造変化することを見出した。この系について、引き続き、ナノ空間をもつ超分子集合体の動的な構造変化について、微小な水が及ぼす影響について詳細に評価する。 2.本研究では、大環状金属錯体の一次元集積化により、内側にチャネル構造をもつ超分子集合体を構築することに成功した。単結晶構造からは、CO2や水、有機溶媒が通過できるほどの有意のチャネル状空間が形成されていることをvoid analysisから見積もった。この特異なチャネル構造を利用して、ゲスト分子の吸着により、超分子集合体に対して可逆的な構造変化が生じることを明らかとした。今後、この分子にガス吸着特性を明らかにし、分子が通過しうるナノチャネル構造を有するかについて評価を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
以下に、本研究計画において、本年度の実験で得られた研究成果を示す。 1. フォルダマーは、折り畳まれたらせん状の分子構造をもち、バネのような伸縮運動や、多重らせん形成、らせん状の内部空間における不斉認識などの興味深い特性を示す超分子である。これまでの研究で、らせん構造を形成するホモキラルな金属錯体型液晶性分子集合体が、サーモトロピックなカラムナー液晶相を形成することを見出した。モデル計算から、その集積した空間の内側に水分子が取り込まれる程の微小な空間が構築されていることが示唆された。そこで、高輝度光科学研究センターの池本博士との共同研究により、高湿度下における放射光 (SPring-8, BL43IR) を用いた顕微偏光IR測定を行い、液晶組織に取り込まれた水の挙動を評価した。その結果、相対湿度が85%以上の高湿度条件下において、特異的に吸着された水の特性吸収が現れることを確認した。また、共同研究者の原光生助教(A01公募班)との連携により、湿度依存XRD測定を行ったところ、高湿度条件下において周期が大きくなることが明らかとなり、液晶組織が可逆的に構造変化することを見出した。この系について、引き続き、ナノ空間をもつ超分子集合体の動的な構造変化について、微小な水が及ぼす影響について詳細に評価する。 2.本研究では、大環状金属錯体の一次元集積化により、内側にチャネル構造をもつ超分子集合体を構築することに成功した。単結晶構造からは、CO2や水、有機溶媒が通過できるほどの有意のチャネル状空間が形成されていることをvoid analysisから見積もった。この特異なチャネル構造を利用して、ゲスト分子の吸着により、超分子集合体に対して可逆的な構造変化が生じることを明らかとした。今後、この分子にガス吸着特性を明らかにし、分子が通過しうるナノチャネル構造を有するかについて評価を行う予定である。
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