研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
22H04545
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大谷 亨 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10301201)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 血液適合性 / 水の構造 / ポリグリセロール / 人工血管 / 生体適合性ポリマー / グリセロール / デンドリマー / ポリマーブラシ / 中間水 / タンパク質 / 水和 / ハイパーブランチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、分子構造と分子量に分布のない血液適合性枝分かれ状分子(ハイパーブランチポリグリセロール(HPG)及びポリグリセロールデンドリマー(PGD))に着目し、枝分かれ度の違いと化学修飾を通じて水の構造を定量的に変化させ、水の構造と分子構造パラメータとの相関性を明らかにする。その上で、血液適合性の指標となるタンパク質吸着及び細胞接着を評価し、水の構造と血液適合性との関連性を明らかにすることで、独自の血液適合性材料としての学術的根拠を得る。これらの研究によって生体材料科学と水の構造物理化学とを融合した学理の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、分子構造と分子量に分布のない血液適合性枝分かれ状分子(ハイパーブランチポリグリセロール(HPG)及びポリグリセロールデンドリマー(PGD))に着目し、枝分かれ度の違いと化学修飾を通じて水の構造を定量的に変化させ、水の構造と分子構造パラメータとの相関性を明らかにする。その上で、血液適合性の指標となるタンパク質吸着及び細胞接着を評価し、水の構造と血液適合性との関連性を明らかにすることで、独自の血液適合性材料としての学術的根拠を得ることを目的とした。完全分岐構造のPGDと不完全分岐構造のHPGの二分子を比較することで分岐性の違いを評価した。近年生体適合性の獲得に重要とされている中間水の存在を証明し,PGD, HPGどちらも既存の生体適合性ポリマーの中間水量よりも有意に多いことを見出した。一方,不棟水量はPGDの方がHPGより多く,立体構造の違いが不棟水の違いに反映されることを明らかにした。さらに,HPGのラジカル重合条件を見出し、これを金基板表面グラフト重合へ適用した。新奇重合体の化学構造と水和構造及び血液適合性の関連性を考察するため、化学構造の異なるモノマーを調製した。具体的には,グリセロールデンドロンメタクリレート ,メトキシ化グリセロールメタクリレート,グリセロールメタクリレート およびポリエチレングリコールメタクリレートを調製し,表面開始原子移動ラジカル重合によって基板にポリマーブラシとして修飾し,表面物性を解析した。それぞれのポリマーの水和構造を示差走査熱量測定から、血中タンパク質吸着を水晶振動子マイクロバランス法から評価した。その結果,化学構造に依らず0.05 g/g程度の中間水を有するポリマーブラシ修飾表面が,いずれも血漿タンパク質の吸着を抑制することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HPG, PGDにおける中間水の存在を証明し、これと生体適合性の指標となるタンパク質吸着を評価し、水の構造と生体適合性との関連性を考察した。この内容は研究計画に示した内容を概ね網羅していることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中間水を有し、かつ不凍水を有するHPGの特徴に着目し、HPGをベースとした水圏機能材料して、ゲルやフイルムの作製と評価を進め、生体適合性材料としての可能性を追求する予定です。
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