研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
22H04558
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70418698)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 水圏機能材料 / 分子集合体 / 光機能 |
研究開始時の研究の概要 |
水が関与する分子集合体の研究は物質・エネルギー変換から薬剤・治療まで幅広い領域を網羅する。他の有機溶媒とは異なり、水は反応場形成の媒体や運び手だけでなく、化学反応における電子源など複数の役割を同時に担える特異な溶媒である。水中の分子集合体の報告例は数多くあるものの、その材料開発は未だ発展途上にある。一方、分子集合体における光励起過程では励起エネルギーの迅速かつ大幅な消滅という重大な問題点が残されている。したがって、複数分子の会合形成に伴う特異的な機能を水中で実現できれば、光励起による様々な分野への技術革新となる。本研究では水中での凝集状態の活用で水と光エネルギーが共生可能な材料開発を推進する。
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研究実績の概要 |
水が関与する分子集合体の研究は物質・エネルギー変換から薬剤・治療まで幅広い領域を網羅する。他の有機溶媒とは異なり、水は反応場形成の媒体や運び手だけでなく、化学反応における電子・プロトン源など複数の役割を同時に担える特異な溶媒である。一方、分子集合体における光励起過程では励起エネルギーの迅速かつ大幅な消滅という重大な問題点が残されている。したがって、複数分子の会合形成に伴う励起子数の倍増やキラル分子の会合形成による円偏光発光(CPL)を水中で実現できれば、光励起による様々な分野への技術革新に繋がる。本研究では水中での凝集状態の活用で水と光エネルギーが共生可能な材料開発を推進する。 まず、BINOLを配位させたキラルBODIPYの2、6位にフェニル基を導入した一連の3種の誘導体[nPh-B-BODIPY: n = 0, 1, ,2]を合成した。得られたキラルBODIPY誘導体を良/貧溶媒を用いた再沈法によって分子集合体[(nPh-B-BODIPY)m]を作製した。専用基板に滴下し、電子顕微鏡で集合体の形状観察を行ったところ、(0Ph-B-BODIPY)mではファイバー状集合体、(1Ph-B-BODIPY)mでは粒子状の集合体が観測された。粉末X線構造解析では(0Ph-B-BODIPY)mでは特にBODIPY間のπスタッキングに対応するシグナルが観測された。次に、吸収および蛍光スペクトルにおいて、いずれのキラルBODIPY誘導体の集合体のスペクトルでは、スペクトルのブロード化と長波長シフトが観測された。とりわけ(0Ph-B-BODIPY)mの集合体の蛍光スペクトルは単量体と比べて大幅な長波長シフトや複数の発光極大が観測され、多重発光が確認された。さらに、S およびR体の(0Ph-B-BODIPY)mのCPLスペクトルでは単量体より遙かに大きい異方性因子が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水中での円偏光発光及び一重項分裂の各種材料の構築に成功したから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は水を電子源・プロトン源とする反応系への展開を進める予定である。
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