研究領域 | ハイパーマテリアル:補空間が創る新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04586
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
根本 祐一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10303174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 準結晶 / 超音波 / 電荷揺らぎ / 電子格子相互作用 / 強相関電子系 / フォノン物性 / 価数揺動 / 弾性定数 / 近似結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
超音波実験は磁化率が磁気双極子を観測する手法であるのと相補的であり,歪みと結合する電気四極子を観測できる。その特徴を活かし準結晶Au51Al34Yb15と1/1近似結晶Au51Al35Yb14の弾性定数の温度・磁場依存性の測定を行う。低温での弾性ソフト化や超音波吸収の有無を調べ,準結晶構造に起因した弾性的性質を整理し,電子系が起源となり発現する低温での多様な物性探索とその理解を深める。準結晶と近似結晶の結果を比較検討し,超音波による歪みフォノンおよび回転フォノンに対する感受率解析を行い,準結晶における新しい電子格子物性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Au-Al-Yb系準結晶および1/1近似結晶は,Tsai型クラスターを基本構造とし,Ybの価数・磁気揺らぎが相まって量子臨界性の起源となる。電子格子結合は電子間の相互作用をもたらし,磁気秩序や四極子秩序,さらには超伝導発現の舞台ともなる。準結晶では周期構造をもたないため,どのような機構により相互作用が記述され,多様な物性が発現するのかが学術的な問いである。そのため,典型的な試料を用いた超音波実験により,弾性定数の温度・磁場・圧力依存性の詳細な検討を進めた。1/1近似結晶で見出された縦波弾性定数CLと横波弾性定数CTの室温付近からの顕著な低温ソフト化について,磁場中の実験結果と合わせて,局在電子描像すなわち結晶場準位を仮定した解析を行い,室温から20Kまでの振る舞いを再現した。また,基本的に準結晶での解析にも局在電子描像が適用可能であることを示した。近似結晶における全対称表現の体積弾性率CBのソフト化は顕著な静水圧効果を示し,圧力下でソフト化が増大する結果を得た。準結晶では,近似結晶よりも小さなソフト化を観測した。静水圧効果は現在も検討中だが,CLに明瞭なソフト化が圧力下で現れ,本系における電子状態を解明する重要な結果となった。一方で,ヘリウム温度以下で見出された温度の対数に比例するソフト化は,高温側で観測した結晶場効果とは異なり,電荷揺らぎによる量子トンネル効果を反映していると考えられる。極低温においても,静水圧効果が顕著に生じソフト化は増強した。本研究において準結晶や近似結晶においても周期系で確立された四極子や16極子感受率として記述される有効な相互作用をもつことが明らかとなった。一方で,電荷揺らぎによるソフト化の微視的記述には課題を残している。極低温での最終的な基底状態の解明に向けて継続した超音波実験が必要である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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