研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04627
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 宏幸 東北大学, 農学研究科, 教授 (60312625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | オートファジー / 葉緑体 / 栄養リサイクル / Rubisco |
研究開始時の研究の概要 |
オートファジーは、真核生物に普遍的なバルクの細胞内分解システムであり、植物にも存在する。植物は光独立栄養生物であり、光合成を担う葉緑体には窒素の多くが分配され、Rubiscoなどのタンパク質として機能している。葉緑体は小胞RCB(Rubisco-containing body)として、オートファジーにより分解されるが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究ではRCB経路について「選択性」と「葉緑体本体からのストロマ成分の選択的な切り離し」に関わるメカニズムについて明らかにする。さらにRCBと他の類似経路の関係を調べ、「ピースミールクロロファジーの多様性」について明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は以下の2項目を中心に解析を進めた。 1.葉緑体本体からのRCB 切り離しのメカニズムの解析:葉緑体の増殖に関わる分裂装置の主要な構成因子のノックアウト変異がRCB 経路に及ぼす影響についてRCBを過剰蓄積するgfs9変異体の孔辺細胞にをプラットホームに調べた。その結果、調べたいずれの葉緑体分裂装置のノックアウト変異をgfs9に導入しても、RCBは蓄積することがわかった。しかしながら、RCBの蓄積量には各変異で影響が見られ、特にarc3ではRCB量が減少した。またRCB 形成に関わる新奇因子の同定を目的に、gfs9変異体に変異原処理を行い、RCB を蓄積しないサプレッサー変異体を単離した。 2. RCB の液胞への輸送ルートの多様性の解析:RCB経路がエンドソーム経路と交差する可能性について各種オルガネラマーカーを用いて検証した。mCherry-Rha1(多胞体マーカー)は野生型では直径1マクロメートル以下の小胞に見られるのに対して、gfs9変異体では同様の構造に加えて直径数マクロメートル程度の中空のリング状の構造体にも見られた。また、mRFP-VAM3(トノプラストマーカー)も野生型では中心液胞膜に見られたが、gfs9変異体では中心液胞膜に加えてより小さい直径のリング状の構造体に見られた。gfs9変異体において一部のPBは、mCherry-Rha1あるいはmRFP-VAM3と共局在していたり、これらのマーカーでラベルされたリング状の構造体の内腔に取り囲まれている様子が観察された。この結果はこれまでのPBが中心液胞と直接融合するモデルに加えて、多胞体などのエンドソーム経路のオルガネラを経由してから中心液胞に向かうという新たな輸送経路の存在を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
葉緑体本体からのRCB 切り離しのメカニズムについて、当初想定された葉緑体分裂因子が重要な枠割を担っている可能性は低いことが示唆された。今後は、順遺伝学的な解析をより一層進めて、新規因子を探索していく必要がある。一方で、RCB の液胞への輸送ルートの多様性については、gfs変異体の表現型から導かれる仮説を支持する基礎データは得られているものの新規性が高く、更なるサポートデータの蓄積が必要であり、今年度の論文公表までに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
RCBがエンドソーム経路を経て液胞へ輸送される新規ルートのモデルを、より多角的にサポートするデータを蓄積させて、論文化を目指す。
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